息も絶え絶え、会場の知人に電話をかける
ちょっとこれは一度引き返そうか、と踵を返したところ、なんと私の後をついてくる女性が!! どうやら私が自信たっぷりに雪の中をピラミッドに向かっている姿を見かけて、その彼女もつられてこちらに向かってきたというではありませんか。暗闇の中、雪に埋もれた初対面の女二人同士。「この道……絶対なんかおかしいですよね!?」と息も絶え絶えになりながら言葉を交わした私たち。
いよいよライブの開演時間が迫っているという中で会場にいらっしゃると聞いていたお世話になっている方に電話をし、雪の中さまよっている旨を伝えると「何やってるんですか!駐車場に戻ってきてください! モエレ沼で遭難する人なんて初めて聞きましたよ!」と呆れ口調で言われ(まったくもってその通り)、結局元の場所に戻って冷静に周りを見渡せば、ピラミッドに繋がった美しい回廊が石壁の後ろにあったのでした……。
絶対に迷わないように、遅刻しないように、と周囲が気をもんでくれたにも関わらず、目的地がはっきりと見えているにも関わらず、それでもとんでもない道を選択してほんの数メートルの距離で遭難をする私ってどこまでダメな奴なんだろうと心底自分自身に呆れ返りました。
そしてここまで空間を把握する能力がないという事実に戦慄を覚えたというのが正直なところ。自分がある程度方向音痴なのは昔から気づいてはいましたが、ここまでひどいミスをおかすとさすがに自己嫌悪がひどい。
あっピラミッドで行われたライブは本当にロマンチックで最高だったのはいうまでもありません。次回はさすがにもう一人でいけるかな。いや、雪がない状態だとまた景色が変わってわからなくなっちゃうかも……!? こんな私、大丈夫でしょうか。
<文/アンヌ遙香>
【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne

