要介護認定の基準と区分、申請手順や訪問調査のポイントを解説

要介護認定の基準と区分、申請手順や訪問調査のポイントを解説

介護保険制度において、介護サービスを利用するためには要介護認定を受ける必要があります。要介護認定は、介護の必要性と程度を公正かつ客観的に判定する仕組みです。本記事では、要介護認定の基本的な概念から各区分の具体的な基準、申請から認定までの詳細な流れ、訪問調査を受ける際の実践的なポイントを解説します。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

要介護認定とは

要介護認定とは

要介護認定は介護サービスの必要性や必要度を判定するための仕組みです。40歳以上の被保険者が介護サービスを利用する際に、どの程度の介護が必要なのかを統一的な基準で評価します。

要介護認定は全国一律の基準に基づいて行われ、地域による格差を防ぐ仕組みが整備されています。認定調査員による訪問調査と主治医意見書をもとに、コンピュータによる一次判定と介護認定審査会による二次判定を経て決定されます。

認定区分は要支援1・2と要介護1〜5の計7段階に分かれており、それぞれ利用できるサービスの種類や支給限度額が異なります。認定の有効期間は新規申請では原則6ヶ月、更新申請では12ヶ月に設定され、期間満了前に更新手続きが必要です。

要介護認定|区分別の基準

要介護認定|区分別の基準

要介護認定の7つの区分は、日常生活における介護の必要度に応じて細かく設定されています。各区分の判定には、身体機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応などの要素が総合的に評価されます。

要支援1の基準

要支援1は、基本的な日常生活はほぼ自立しているものの、一部で支援が必要な状態です。具体的には以下のような状態像が該当します。

歩行や立ち上がりなどの基本的動作はほぼ自分でできる

入浴や掃除などの家事の一部に手助けが必要

薬の管理や金銭管理はおおむね自分でできる

認知症の症状は軽微で日常生活に大きな支障はない

要支援1では、現在の身体機能を維持し、悪化を防ぐための予防給付サービスを受けられます。予防給付サービスとは心身の状態の維持・改善を図り、要介護状態への進行を予防すること、そして可能な限り自立した日常生活を送れるように支援することです。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要支援2の基準

要支援2は、要支援1よりも支援の必要性が高く、日常生活の複数の場面で手助けを要する状態です。

歩行や立ち上がりに一部介助が必要な場合がある

入浴時の洗身や洗髪に部分的な手助けが必要

掃除や洗濯などの家事に支援が必要

軽度の認知症症状があり、見守りが必要な場面がある

要支援2は、要支援1に比べて介護保険の支給限度額(利用できる費用の総額)が大きく設定されており、機能訓練を含む通所型サービスを利用できる頻度が増えます。

例えば通所介護の利用を週に2回程度に増やすなど、より積極的な機能訓練や社会参加の機会を設けることが可能になり、家族の介護負担軽減も考慮されたサービス計画が立てられます。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護1の基準

要介護1は、日常生活の基本的な動作に一部介助が必要で、認知機能の低下もみられる状態です。

歩行は自分でできるが、階段の昇降に手すりが必要

入浴時の一連の動作に見守りや部分介助が必要

排泄は自立しているが、トイレでの一連の動作に時間がかかる

軽度から中等度の認知症症状があり、日常生活に一部支障がある

要介護1からは介護給付の対象となり、居宅サービスと施設サービスのいずれも利用できます。

居宅サービスは、要介護認定を受けた方が自宅で生活しながら利用できる介護保険サービス全般のことです。訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)などがあり、住み慣れた地域での自立した日常生活を支援します。施設サービスは、要介護認定を受けた方が介護保険施設に入所して生活全般の介護や医療的なケアを受けられるサービスのことです。介護老人福祉施設(特養)や介護老人保健施設(老健)などがあり、主に要介護度が高い方や自宅での生活が困難な方が対象となります。月額支給限度額は167,650円に設定されています。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護2の基準

要介護2は、日常生活の多くの場面で介助が必要となり、認知機能の低下も進行した状態です。

歩行や立ち上がりに何らかの支えが必要

入浴は一人では困難で、全面的または部分的な介助が必要

排泄の一連の動作に見守りや介助が必要な場合がある

中等度の認知症症状があり、問題行動が時々みられる

要介護2では、身体介護を中心としたサービスが必要となります。月額支給限度額は197,050円で、デイサービスやショートステイの利用も本格的に検討される段階です。

デイサービス(通所介護)は、要介護者が日帰りで施設(デイサービスセンター)に通い、入浴、食事、レクリエーション、機能訓練などのサービスを受けることです。自宅以外での社会的な交流や活動の機会を提供し、生活機能の維持・向上を図るとともに、介護をしているご家族の休息にもつながります。

ショートステイ(短期入所生活介護)は、要介護者が短期間、施設に宿泊し、日常生活の介護や機能訓練、健康管理などを受けることです。ご本人が介護施設での生活を体験する機会となるほか、主にご家族が病気や冠婚葬祭、または介護疲れの軽減を図るために利用されます。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護3の基準

要介護3は、日常生活の多くの動作で全面的な介助が必要となる状態です。

立ち上がりや歩行が自力では困難

入浴は全面介助が必要

排泄の際に介助が必要で、失禁することもある

中等度から重度の認知症症状があり、日常生活に大きな支障がある

要介護3では、24時間対応の訪問サービスや施設への入所も視野に入れた検討が必要です。月額支給限度額は270,480円に設定されています。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護4の基準

要介護4は、日常生活の能力が著しく低下し、多くの場面で全面的な介護が必要な状態です。

歩行や立ち上がりはほとんど自力では不可能

入浴、排泄、食事などすべてに介助が必要

理解力が低下し、意思疎通が困難な場合が多い

認知症症状が明らかであり、屋内での生活に支障がある

要介護4では常時介護の体制が必要となり、家族だけでの在宅介護は困難になることが多いです。月額支給限度額は309,380円です。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

要介護5の基準

要介護5は、日常生活全般にわたって全面的な介護が必要で、意思疎通も困難な状態です。

寝たきりの状態で、体位変換も自力では不可能

食事、排泄、入浴すべてに全面介助が必要

意思疎通が著しく困難またはできない

認知機能の症状が明らかで生活に支障がある、あるいは意識レベルの低下がある

要介護5では、医療的ケアを含めて総合的な支援が必要となります。月額支給限度額は362,170円で、施設への入所が検討されることが多い段階です。

参照:『介護保険制度の概要』(厚生労働省)

配信元: Medical DOC

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