要介護認定の申請から認定までの流れ

要介護認定の申請から結果通知までは、30日以内と定められています。実際のプロセスは複数の段階を経て進行し、各段階で専門的な評価が行われます。ここでは、具体的な手順と必要書類を解説します。
要介護認定・要支援認定申請書の提出
要介護認定・要支援認定の申請は住所地の市区町村の介護保険課または地域包括支援センターで行います。申請者本人だけでなく、家族や地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の職員も代理申請が可能です。
申請時に必要な書類は以下のとおりです。
要介護認定・要支援認定申請書
介護保険被保険者証
健康保険被保険者証(40歳から64歳の第2号被保険者の場合)
主治医の氏名と医療機関名がわかる資料
申請書には、現在の身体状況や生活状況を具体的に記載してください。日頃から気になる症状や困っていることを整理しておくと、申請時にスムーズに記入できます。
参照:『要介護認定について』(厚生労働省)
認定調査(訪問調査)
申請後、原則として申請者の自宅に認定調査員が訪問し、全国共通の調査票に基づいて聞き取り調査を行います。調査項目は74項目にわたり、身体機能、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活などを詳細に評価します。
調査は通常1時間から1時間30分程度で完了し、看護師や介護福祉士、社会福祉士などの有資格者が調査を担当します。
参照:『要介護認定について』(厚生労働省)
自治体による主治医意見書の取得
市区町村は、申請者が指定した主治医に対して意見書の作成を依頼します。主治医意見書では、疾病の状況、身体機能、精神機能、社会生活への適応などが医学的見地から評価されます。主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師による診察を受ける必要があります。この場合、指定医師による診察料・書類作成料は介護保険から支払われるため、申請者の負担はありません。
コンピュータによる一次判定
認定調査員(市区町村の職員または委託を受けたケアマネジャーなど)が実施した認定調査の結果を、市区町村の介護保険担当職員がコンピュータに入力します。この結果をもとに全国一律の判定ソフトによって要介護度の一次判定が行われます。
要介護認定等基準時間は認定調査の結果に基づき、その人にどれくらいの介護の手間がかかるかを統計データから推計し、分という単位で表した介護や支援に要する時間のことです。この時間が介護の必要性を測る全国一律のものさしとして機能し、コンピュータによる一次判定において、時間区分(例:32分以上50分未満など)に当てはめることで暫定的な要介護度が決定されます。
参照:『要介護認定について』(厚生労働省)
介護認定審査会による要否・区分の最終判定
一次判定の結果、認定調査票、主治医意見書をもとに、介護認定審査会が最終的な判定を行います。審査会は保健、医療、福祉の専門家5名程度で構成されています。
審査会では、一次判定の妥当性を検証し、必要に応じて判定の変更を行います。特に、認知症や精神・行動障害については、コンピュータでは判定しきれない部分を専門家の知見で補完します。
参照:『要介護認定について』(厚生労働省)
認定結果の通知
要介護認定の結果は、申請から原則30日以内に認定結果通知書をもって通知されます。認定された場合は、通知書に要介護度(要介護1~5または要支援1・2)、認定の有効期間、支給限度額などが記載されるとともに、介護保険被保険者証が交付されます。一方、認定されなかった場合(非該当となった場合)は、その旨が郵送で通知されますが、介護保険の給付サービスは利用できません
認定結果に不服がある場合は、通知を受けた日の翌日から60日以内に各都道府県に設置された介護保険審査会に審査請求を行うことができます。また、区分変更申請により、状態の変化に応じた再評価を受けることも可能です。
参照:『要介護認定について』(厚生労働省)
要介護認定の訪問調査を受ける際のポイント

訪問調査は要介護認定における評価段階の一つです。調査では、申請者の日常生活における実際の状況を正確に把握して共有することが目的です。そのため、普段の生活で困っていることや支援が必要な場面を具体的に伝えてください。
訪問調査前の準備
調査前の準備により、限られた時間内で必要な情報を効果的に伝えることができます。以下の準備を行っておくことを推奨します。
普段の生活で困っていることや介助が必要な場面をメモにまとめる
服用している薬の一覧表を用意する
過去の入院歴や手術歴をまとめておく
家族が同席できる日程を調整する
普段使用している福祉用具や介護用品を準備する
特に、日常生活動作の具体的な状況を整理してください。例えば、「お風呂に入る際にどの動作で困るか」「階段の昇降でどのような支えが必要か」といった詳細な情報が判定に役立ちます。
当日の注意点
調査当日は、普段の生活状況をありのままに伝えてください。以下のポイントに注意して調査に臨みましょう。
調査員の質問には正直に答え、困っていることを遠慮なく伝える
「できるけれど時間がかかる」「できるけれど危険」な状況も具体的に説明する
認知症の症状がある場合は、家族が補足説明を行う
調子のよい日と悪い日の差が大きい場合は、その旨を明確に伝える
現在利用している介護サービスや支援の内容を詳しく説明する
調査では、申請者が一人でどの程度のことができるかが評価されます。家族の支援があってできていることは家族の支援がない状態での能力として評価されるため、支援の必要性を明確に伝えてください。調査員が帰った後に伝え忘れた情報を思い出した場合は、市区町村の担当者に連絡して追加情報を提供することも可能です。

