お茶には、相棒がいる

「ここに来たら、紅茶と向き合ってほしいから」と話す店主の言葉が、この空間に静かな緊張感を与えている。
2時間だけ、自分の感覚に耳を澄ませて、紅茶と向き合う。そんな贅沢を、ここでは当たり前のように味わえる。
この日はキャロットケーキを選んだ。ほんのり香るシナモン、胡桃の歯ざわり。濃厚なミルクティーとの相性が、思わずため息が出るほど良かった。

「ティータイムセット」は、スコーン、ケーキ、ビスケットがひとつずつ。小さなプレートの上に、夢がぎゅっと詰まっている。手の届くアフタヌーンティーって、こういうことかもしれない。
紅茶の完成は、たくさんのフードと

「紅茶って、コーヒーと違って、たっぷりのフードと一緒に味わうと、よりおいしさが引き立つんです」
そうにこやかに話してくれたのは、紅茶室をひとりで営む店主・辻元さん。やわらかな口調とおだやかな笑顔が、この空間の空気をそのまま映しているようだった。

香りに包まれて、一口ごとに気持ちがほどけていく。なんでもない時間なのに、心がふわっと軽くなる。
ここで過ごす時間は、そんな風に“ちゃんと自分に戻れる”ひとときなのだと思う。
