原発性腋窩多汗症の治療
原発性腋窩多汗症の治療は外用薬や内服薬、注射や手術など症状の程度に応じて選択します。まずは身体的な負担が少ない治療法から始め、効果をみながら治療内容を検討することが一般的です。
治療の第一選択としては、抗コリン外用薬や塩化アルミニウムが含まれている制汗剤を用いた治療が推奨されます。
抗コリン外用薬は、2020年にエクロックゲルが登場し、国内で初めて原発性腋窩多汗症用の外用薬として保険適用となりました。汗の分泌を抑える作用があり、1日1回脇の下に塗布することで効果が期待できます。
また、従来から使用されている塩化アルミニウムを含む制汗剤もありますが、場合によっては皮膚が荒れることもあり、抗炎症薬を併用し様子を見ながら治療をおこないます。
外用薬で十分な効果が得られない場合は、脇の下へボツリヌス毒素を注射する治療が選択されることもあります。これはボツリヌス毒素が汗腺の働きを阻害する作用を利用した治療法です。効果が数カ月続くメリットがありますが、切れたら再度注射をする必要があります。
さらに症状が重い場合、脇の下の汗腺を切除します。他の治療法よりも高い効果が期待できますが、術後の痛みをともないます。
また、止血のために一定期間はガーゼで手術部位を圧迫する必要があるため、腕の運動を制限する場合があります。
治療法を選択するにあたり、症状の程度や望む効果、費用や生活スタイルなどさまざまな要因を考慮する必要があります。医師と相談しながら最適な治療法を見つけることが重要です。
原発性腋窩多汗症になりやすい人・予防の方法
原発性腋窩多汗症になりやすい特徴には、遺伝的な要素が挙げられます。家族歴がある場合、原発性腋窩多汗症を発症する可能性が高まります。
生活習慣も症状の出現や悪化に影響を与える要因です。過度のストレスや不安を抱えやすい人、緊張しやすい人は自律神経系の働きが不安定になりやすく、症状が出現したり悪化したりするといえるでしょう。
原発性腋窩多汗症の予防や症状の緩和のためには、ストレスを管理したり緊張状態を和らげたりして自律神経系の安定化を図ることがポイントです。
また、衣服の選択も重要な予防策の一つです。汗を吸収しやすく、速乾性のある素材を選ぶことで、汗による不快感を軽減できます。
脇の下に汗取りパッドを使用して、衣服への汗染みを防ぐことも有効です。季節や気温に応じた適切な衣服の選択も、過剰な発汗を防ぐ上で効果があるといえます。
多量な発汗は精神的な苦痛も大きく、場合によっては対人関係や日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、専門医に相談することをおすすめします。
関連する病気
原発性手掌多汗症
原発性足底多汗症
原発性頭部顔面多汗症
参考文献
日本皮膚科学会ガイドライン「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」
日本皮膚科学会「汗の病気ー多汗症と無汗症ー」
兵庫医科大学病院「原発性腋窩多汗症」

