母としての決断!もう一緒には遊ばせない
決定的だったのは、その数日後。
沙良の友だちのお母さんが、手作りのおかしを持ってきてくれた。人数分、きっちりと計算されたものだった。
「休憩して、おやつ食べよう〜」
そう言った直後、結衣ちゃんとひよりちゃんが現れた。
「なにそれ?食べたい!」
「いいでしょ?」
予定にない参加。個数が決められていたこともあって、私は2人にやんわりと断った。すると、2人は分かりやすく気を落とし、ひよりちゃんに至っては泣きながらダダをこね始めた。
その様子を見かねてか、沙良の友だち2人が、姉妹におかしをゆずり、他の友だちや沙良と半分こして食べることになった。
大人な対応に感心しつつも、沙良の友だちの表情は当たり前ながら少しくもっていた。
「おかし、楽しみにしてたのになぁ……」
その言葉を聞いた瞬間、頭の中で何かが弾けた。
違う。これはもう、子ども同士の問題じゃない。誰かがガマンして、誰かが傷ついている。それをうやむやにしているのは、私だ。
その日の帰り道、私は決めた。
──もう、一緒には遊ばせない。
それは、冷たい判断かもしれない。でも、沙良を守るのは私の役目だ。
私は、沙良と下の子たちを家に帰した後、井上さんの家へ向かった。自分の中の迷いを振り切るように、強くインターホンを押した。
井上さんが出るまでの間、姉妹と楽しそうに遊んでいた沙良の表情や、井上さんの人当たりの良さが思い起こされる。その上で、これから伝えることを思うと胸が締め付けられた。
でも、言わないと──。
「もう、うちの子と遊ばせたくないんですけど」
そう伝え終えた帰り道、「やっと言えた」という安堵とともに、「気にし過ぎだったのでは」という罪悪感が、胸の中でせめぎ合っていた。
──でも、これで良かったんだ。
そう、自分に言い聞かせて、呼吸を整える。そして、わが子の待つ自宅へと急いだ。
「気にしすぎかもしれない」と思う前に
違和感を覚えたとき、それを口にすることはとても勇気がいる。
特に相手が子どもであれば、「大人の都合ではないか」「ガマンすべきではないか」と、自分を責めてしまいがちだ。けれど、誰かがガマンし続けることで成り立つ関係は、決して健全ではない。
第3話では、咲希が“見て見ぬふり”をやめ、母として線を引く決断を下した。その選択は冷たさではなく、わが子を守るための覚悟だったのかもしれない。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: tenkyu_writing
(配信元: ママリ)

