
「怖かったら一杯無料」を謳い文句に、実話ホラーを語ってくれる客を待つスナック店主兼シナリオライターのエミ。彼女の元には、霊感ゼロながらも、なぜか続々と恐ろしい話が集まってくる。漫画「丑三つ時、コワい話はこのBarで」は、フジテレビ「ほんとにあった怖い話」や「呪怨 THE LIVE」の脚本家・穂科エミさんが実際に集めたエピソードが原案だ。今回は、第5話「近藤さん」の前編とともに、制作の舞台裏を紐解いていく。
■記憶から抜け落ちる男「近藤さん」の怪異



エミの店を訪れたのは、老舗ゲイバーの美和ママ。彼女が語り始めたのは、近隣の店で話題になっている「近藤さん」という不思議な人物の話だった。一見すると人当たりも羽振りもよいという彼だが、店をあとにすると、なぜか顔も姿も、話した内容すら誰も思い出せなくなるのだという。
そんな不気味な話をしている最中、ひとりの客が店に現れる。彼は静かに「近藤と申します」と名乗る。都市伝説のような噂が、音もなく現実へと侵食してくる瞬間だ。
■都市伝説を彷彿とさせる「感情の見えない笑顔」
原作者の穂科エミさんは、この実話を聞いたとき、印象は強かったはずなのに名前以外を全く思い出せないという点が非常におもしろいと感じた。霊なのか、生霊なのか、あるいは別の怪異なのか。こうした都市伝説的なエピソードに強い関心を寄せる穂科さんは、漫画版の近藤さんの描写にも強い恐怖を感じたという。
何を考えているかわからない、全く感情の見えない近藤さんの「優しい笑顔」。それこそが、次に何かが来るぞと思わせてくれる、ゾワゾワするような予感を煽るのだ。
■バーという舞台が引き立てる恐怖の創造力
漫画を担当する近原さんも、人伝てに広まる真意の曖昧な都市伝説系のお話は、創造力が最も掻き立てられるため大好きだと語る。禁忌やタブーといった要素は不安と期待を同時に煽るものであり、不特定多数の人間が集まるバーという舞台設定との相性も最高によいと分析している。
「本当にこんなことが起きたのか」と考えながら読むとき、本作の恐怖はより一層深まっていく。近々書籍の発売も予定されており、さらなる実録ベースの極上ホラーに期待が高まる。
取材協力:穂科エミ(@hbdg1999)、近原
※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。製品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格が異なる場合があります。

