●母親が見つけた「河川敷の息子」

やがて、遠くから母親の声が聞こえた。
「探しに来てくれたとわかりました。その後、救急隊に救助されました」
ここで、発表者は母親に交代した。
「和泉が(ここまで)話すのは本当に勇気のいることだったと思います。この後は、私から当日の状況や学校側の対応について話します」
母親は仕事を終えた後、位置情報アプリで和泉くんの居場所を確認した。塾にいるはずの時間だったが、表示されたのは自宅から約3キロ離れた川の付近だった。
「真面目な子なので、おかしいと思いながら待っていました。でも塾の終わりの時間になっても帰って来ない。塾に行くと、他の生徒さんたちから『今日来なかった』と言われました」
嫌な予感がよぎり、すぐに位置情報が示す場所へ向かった。
「橋の上から必死に名前を呼びました。河川敷に倒れている和泉を見た瞬間、頭が真っ白になって。茂みで降りられず、警察に連絡しました。欄干にスマホが置かれていて『助けて』としか言葉が出ませんでした」
●「後遺症の可能性」病院で告げられた現実
病院で告げられた診断は深刻だった。
「高さ9メートルから落ち、腰椎破裂骨折。すぐに手術が必要で、後遺症が残る可能性もあると言われました。目の前が真っ暗になりました。面会では、管だらけの痛々しい姿でした。声をかけると、幼い頃のように体を寄せて。『生きててよかった』と伝えるのが精いっぱいでした」

