成長とともに違和感を覚える
でも、成長するにつれて、私は強烈な違和感を抱くようになったのです。
「お母さん、それって本当? 科学的には別の理由があるんじゃないの?」
高校生のころ、勇気を出してそう言った私に、母は悲しそうな、それでいて、どこか軽蔑を含んだような目で言いました。
「すみれ、あなたはまだ何も分かっていないのね。信仰心がないと、いつか不幸になるわよ」
その言葉が、呪いのように、私の胸に深く突き刺さりました。
私は母を愛していましたが、母が愛しているのは「私」ではなく、「同じ信仰を持つ娘」なのではないか…。そんな疑念が、30歳になった今も、私を苦しめているのです。
新平には、「母は少し信心深いところがある」とだけ伝えていますが、実態は、そんな生やさしいものではありませんでした。
「すみれ、聞いてる?」
新平が私の顔をのぞき込みます。
「……あ、ごめん。ちょっと寝不足かな」
「ムリするなよ。今日は俺が美鈴をみるから、少し横になりな」
新平に甘えて寝室へ向かう途中、また、スマートフォンがふるえました。
母からの着信。いやな予感がして、私はふるえる指で、通話ボタンを押しました。
あとがき:愛という名の呪縛
「あなたのため」という言葉ほど、逃げ場のない重みを持つものはありません。
すみれさんが感じていたのは、母への愛ゆえに、断ち切れない苦しみです。家族だからこそ、価値観のズレはするどいナイフのように心を抉ります。
新平さんの優しさが救いである一方で、秘密を抱える罪悪感に胸がしめ付けられる第1話。彼女が抱える「違和感」の正体は、多くの女性がどこかで共感してしまう、切実な痛みなのではないでしょうか。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

