私が大学生だったころのエピソードです。当時、遠方に住む80代の祖父が2人とも体調を崩し、その年に亡くなるまでの間、親戚の家や福祉施設で要介護の状態になっていました。
あまり関心がなかった介護
私の実家は、祖父母の家から離れた県外にあります。父親の仕事の都合で、小さいころから何度か引っ越しを経験し、親戚の家に遊びに行くのはお盆や正月休みなどのタイミングでした。
父方と母方の祖父が、ほぼ同じ時期に介護が必要となったときも、毎日通うことはできません。限られた機会の中で、高速道路に乗り、慣れない運転を家族と交代しながら向かったのを覚えています。
当時私は、大学で福祉を学んでいました。しかし、介護や高齢者の問題に関して特に詳しいわけではなく、なんとなく授業の中で介護に関する用語を目にしていた程度でした。
このように介護に関して問題意識がなく、自分とは直接関係ないと思っていましたが、祖父が要介護になった際、初めてこの分野を身近に感じるきっかけになりました。それまで、介護で具体的にどんなことが大変なのかを、現場感覚で把握していたわけではありませんでした。
介護する側のケアも必要
介護の場合、ケアされる高齢者本人のしんどさや、弱い立場にある当事者を守らなければならないというイメージがありました。実際に親戚の叔父や叔母、いとこなどと一緒に手伝うこともありましたが、やさしかった祖父が幼い子どもに戻っていくように見え、複雑な気持ちになることもありました。
しかし、問題はそれだけではありません。介護する側やその周囲の人も、精神的・時間的な負担が重く、助けが必要だったのも事実です。

