血管の老化を防ぐ食事法とは。「地中海食」が動脈硬化と心臓病リスクを下げる理由を医師が解説

血管の老化を防ぐ食事法とは。「地中海食」が動脈硬化と心臓病リスクを下げる理由を医師が解説

地中海食がもたらす心臓への多面的な効果

地中海食の心臓保護効果は、単一のメカニズムではなく、複数の生理的変化が組み合わさることで発揮されます。この多面的なアプローチが、長期的な心血管系の健康維持につながると理解されています。

血圧への影響

高血圧は心臓病の主要な危険因子であり、血圧を適切に管理することは心血管疾患予防の基本です。地中海食には血圧を低下させる効果があることが、複数の研究で報告されています。
カリウムやマグネシウムを豊富に含む野菜や果物、ナッツ類の摂取は、血圧の調整に重要な役割を果たします。これらのミネラルは、余分なナトリウムの排泄を促進し、血管を広げてしなやかに保つ効果があるといわれています。
食塩の摂取量が抑えられていることも、地中海食の特徴です。新鮮な食材を用いてハーブやスパイスで味付けすることで、過度な塩分摂取を避けることができるでしょう。血圧の低下により、心臓への負担が軽減され、長期的な心機能の維持につながると考えられています。ただし、血圧の変化には個人差があり、降圧薬を服用している方は、食事の変更により血圧が過度に低下する可能性もありますので、医師と相談しながら進めることが重要です。

脂質プロファイルの改善

血液中の脂質バランスは、心血管疾患のリスクに大きく影響します。地中海食は、総コレステロール値やLDLコレステロール値を低下させる効果があることが示されています。
オリーブオイルに含まれる一価不飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを低下させる一方で、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を維持または増加させる効果があるといわれています。このバランスの改善により、動脈硬化のリスクが低減される可能性があるでしょう。
トリグリセリド値の低下も、地中海食の効果として報告されています。オメガ3脂肪酸は肝臓でのトリグリセリド合成を抑制し、血中濃度を低下させる作用があると考えられています。これらの脂質プロファイルの改善が、総合的に心血管リスクの低減につながるといえます。ただし、脂質異常症の治療を受けている方は、食事療法と薬物療法を組み合わせることで、より効果的な管理が可能となる場合がありますので、医師や管理栄養士による定期的な評価を受けることをおすすめします。

まとめ

健康的な食生活は、生活習慣病の予防だけでなく、人生の質(QOL)を高く保つことにもつながる重要な要素です。地中海食は、抗酸化作用や抗炎症作用を通じて、糖尿病、心臓病、認知症など、さまざまな疾患のリスク低減に寄与する可能性が科学的に示されています。ただし、地中海食の効果には個人差があり、年齢や基礎疾患、遺伝的要因によって効果の現れ方は異なります。
食事内容の見直しを検討される際は、かかりつけの医師や管理栄養士に相談しながら、ご自身の健康状態に適した形で実践することをおすすめします。特に、糖尿病や心臓病などの疾患で治療を受けている方は、薬物療法との適切な組み合わせについて、医療従事者の指導を受けることが重要です。
地中海食は、単なる食事法ではなく、家族や友人との食事を楽しみ、適度な身体活動を取り入れた総合的な生活習慣として捉えることで、より大きな健康効果が期待できます。まずは1日のうち1食からでも、無理のない範囲で継続できる方法を見つけ、長期的な健康維持に役立てていただければ幸いです。

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

国立がん研究センター「多目的コホート研究(JPHC Study)」

配信元: Medical DOC

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