●作成は10年以上前、具体的な事件は確認できず
さらに取材を進めると、看板の掲示について、JR東日本は「5年前から」としたが、宮城県警岩沼警察署は「2015年7月に作成したもの」と答えた。
当時、同じタイミングで2枚作られてており、もう1枚は2駅隣の名取駅にも掲示されたという。

岩沼署長の名前が記されていることから、警察が文面を了承したうえで掲示されたことは間違いない。ただし、企画や文面作成を主導したのが警察側か鉄道会社かはわからないという。
岩沼署によると、作成時期に該当するような具体的な痴漢事件は確認できなかったという。
もちろん、10年以上前の出来事であり、把握できないだけで、実際に何らかの事件があった可能性もある。
「駅構内、電車内での痴漢は2015年当時も発生していたため、防犯、広報啓発の部分で、JRさんと協力させていただいたようです」
●警察「狙ってこの表現にした可能性も」
岩沼署は「推測になってしまうが」と前置きしたうえで次のように説明した。
「具体的な捜査事件が解決したことで感謝を伝える掲示を出すことは少なくありませんが、防犯の広報的な意味合いで『皆様のおかげで、痴漢を捕まえることができました』と過去形の形で伝えることは珍しいと思います。狙ってこの表現にした可能性はありえます」
JR東日本と岩沼署はこれまでも、駅周辺の中学校やボランティアと連携して「痴漢防止」「特殊詐欺撲滅」のチラシを配布して、啓発活動を実施してきた。
そうした地道な活動が結実したことを伝えている意図があったとも考えられる。
最近でも岩沼駅や名取駅において痴漢や盗撮事件が発生していることから、「意味のないものではなく、警察としてもありがたい看板なので、掲示を続けてほしい」(岩沼署)
●伝え方ひとつで被害減少につながれば
似たようなところでは、コンビニのトイレで「キレイに使ってください」ではなく、「いつもキレイに使っていただきありがとうございます」と表示するケースがよく知られる。
伝え方ひとつで、被害が減少するのであれば、広まってほしいものだ。今後はこうした形の啓発もひとつの手段として有効なのかもしれない。

なお、東京都では、受験期の被害防止策として、1月15日から「痴漢は重大な犯罪です」と周知するJR山手線のラッピングトレインを運行する予定だ。

