塵も積もれば山となる
転機となったのは、繁忙期でした。A香がいつものように確認を飛ばしたまま作業を進めてしまい、修正に時間を要するミスが発生してしまったのです。今回はこれまでのようにR奈の修正作業だけで間に合うものではなく、先方も巻き込んでしまう大きなミスのため、A香は言葉を失い、ひどく動揺してしまいました。
R奈自身も焦っていたものの、冷静に対処しその場を切り抜けたと同時に、A香のその様子を見て、叱るよりも先に気づいたのです。A香は“聞いていない”のではなく、“一度に多くの指示を受けると、情報を整理しきれなくなる”タイプなのだと。
個性を活かしたミス回避術
その日以降、R奈はA香に対する指示の伝え方を変えました。口頭説明だけで終わらせず、「大事なポイント」を区切ってメモさせ、自分の進捗状況を確認できるようにしたのです。「一度に伝えるのは3つまで」と決め、A香自身も「一度メモしてから動く」「不安なときは確認する」というルールを自分に課すようになりました。
すると、あれほど多かったミスが、少しずつ減っていったのです。伝え方という「少しの工夫」で嬉しい変化がみられるなら、もっと早く気がつけばよかったと思うほどでした。

