結婚式のスピーチを依頼するも、静江から拒絶に近い反応をされ戸惑う奈津子。後日のドライブでは、門限を気にする奈津子に静江の不満が爆発する。静江の心には、うらやましさを越えた嫉妬が芽生え始めていました。
スピーチを断れてしまった
結婚式の準備が進む8月。私は静江に、ある「お願い」をしようと決めていました。
「静江、あの……。結婚式で、友人代表のスピーチをお願いしたいんだけど」
久しぶりに会ったカフェで切り出すと、静江はコーヒーを混ぜる手を止めました。
「スピーチ? ……光栄だけど、今の私の精神状態でできるかわからないよ…」
「静江……?」
「既婚者がたくさんいる中で、もう35歳で独身の私が何を言えばいい? 絶対に周りから何か思われると思って。でも、考えとくね」
彼女の反応に、私は言葉を失いました。彼女のつらさはわかっているつもりでした。でも、一生に一度の晴れ舞台。一番の親友に言葉をもらいたいと思うのは、私のわがままだったのでしょうか。
久々に会っても、うまくいかない
その数週間後、私たちはドライブに出かけました。 久々に以前のような楽しい時間を過ごし、夜ご飯を食べていた時のことです。
「ごめん、うち、23時には帰るっていうルールがあって…今日は10時くらいには解散でもいい?」
そう聞いた瞬間、静江の表情がサッと凍りつきました。
「……そっか。じゃあもう帰ろうよ」
彼女は箸を置き、立ち上がろうとしました。
「え!でもまだ少し時間あるし…どうしたの?」
引き止める私に、彼女は溜まっていたものを吐き出すように言いました。

