
時給が上がれば従業員は喜ぶはず。しかし、スーパーの現場ではそれが「人手不足」という皮肉な結果を招くことがある。何かと話題になる「年収の壁」の実態を描いた、狸谷さん(@akatsuki405)の実録漫画『チェッカー鳥海さん、レジまでお願いします』から、多くの反響を呼んだエピソードを紹介する。



■時給アップで「シフト減らして」の悲劇
ある日の朝礼、店長から「時給が上がります!」と発表があった。本来なら朗報だが、パート従業員たちからは「扶養内で働きたいから、シフトを減らしてほしい」という声が上がる。その結果、翌月のシフトは人員不足に陥り、稼働できるレジの台数が減ってしまった。
事情を知らない客からは、「混んでいるのになぜレジを閉めているんだ!」「ほかの店員を呼びなさいよ!」と怒号が飛ぶ。しかし、呼ぼうにも人がいないのだ。 作者の狸谷さんは、「このエピソードは以前勤めていたスーパーがベースです。当時はすべての支店に応援勤務があり、どこも人が足りていない状況でした」と振り返る。
■鮮魚部もレジ打ちに参加
時給を上げても、扶養控除の壁がある限り労働時間は増えない。むしろ単価が上がれば働ける時間は短くなる。 「普段レジに入らない店長や役職者、鮮魚・精肉・青果・デリカ部のスタッフまでレジ研修を受けるなど、現場はかなり深刻でした」
現在も時給改定のたびにシフト調整に追われる店長やスタッフの苦労は変わらない。「頭を抱える皆さんの負担が減るよう、どうにかバランスの取れる制度への改正を切に願います」と狸谷さんは語る。
同業者からは「うちのことかと思った」「結局、無理ができる正社員が残業するしかない」といった悲痛な声も届く。2026年は「年収の壁」を引き上げる議論が進んでいるが、これが働き控えの解消につながるのか。制度の狭間で、現場の苦闘は続いている。
取材協力:狸谷(@akatsuki405)
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