●自殺前日の指導
自殺の前日、顧問は悠太さんを呼び出し、先輩部員4人を立ち会わせうえで「嘘を吹聴した」と一方的に叱責した。報告内容を誤解したままの指導だったという。
「『何のことだかわかるよな?』と言われて、『わからない』と言ったら怒られるのが怖くて、悠太は『はい』と答えたそうです。
続けて『お前のやっていることは名誉毀損で犯罪だ。俺の娘に同じことをされたらお前の家に殴り込みに行く。警察にも訴える。三度目はないぞ』
さらに『もう誰とも連絡取るな。喋るな。行事にも参加しなくていい。お前は与えられた仕事だけしていればいい』と言われました」
はるかさんは「人として存在できない条件だと感じた」と語る。
●「連絡があれば救えたかもしれない命」
その夜、悠太さんは家族に指導の内容を話したが、言えなかったことがあった。立ち会った先輩部員からも「部活を辞めてほしい」と言われたことだ。
「仲間であるはずの部員からも言われたことは、つらすぎて言葉にできなかったのではないかと思います。私は、立ち会わされた先輩部員も、命を奪う指導に加担させられた被害者だと思っています」
翌日は日曜日だったが、悠太さんは「行かないと本当に辞めさせられちゃうから」といい、部活のためだけに学校へ向かった。しかし、職員室に寄ったものの、部活には参加せず、学校を出て自殺した。
遺書となったメールは、同じ部員の1人に送られていた。
「(部内恋愛を打ち明けた)2人を信用した俺が馬鹿だったんだね。信じなきゃよかった。生まれなきゃよかった」
顧問は、悠太さんが登校していたことを知りながら、部活に参加していないことを家庭に連絡しなかったという。それどころか、部員には「これであいつはもう駄目だな。今後は一切関わらないこと、もうあいつのことは話題にしないで練習に集中だ」と伝えたとされる。
「このとき、悠太はまだ生きていました。亡くなるまで3時間半もあった。親に連絡を入れてくれていれば、死なせずに済んだかもしれません」

