更年期障害は女性ホルモンの低下と揺らぎが大きくなることで中高年の女性に起こる心身の不調のことです。20代〜30代の若い世代の女性にも更年期障害のような症状に悩まされている方が増えています。
若い女性に起こる更年期に似た症状が、若年性更年期障害です。閉経が近い年齢ではない方に更年期障害の症状があると不安にならないはずがありません。
そこで今回は、若年性更年期障害についてのお話をしていきます。
※この記事はメディカルドックにて『「若年性更年期障害」とは?症状や予防法についても解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
前田 裕斗(医師)
東京大学医学部医学科卒業。その後、川崎市立川崎病院臨床研修医、神戸市立医療センター中央市民病院産婦人科、国立成育医療研究センター産科フェローを経て、2021年より東京医科歯科大学医学部国際健康推進医学分野進学。日本産科婦人科学会産婦人科専門医。
若年性更年期障害とは?

若年性更年期障害とはどんな病気か教えてください。
一般的に更年期障害は閉経前後5年間、45〜55歳の合わせて10年ほどの期間に、卵巣機能の低下によって起こる心身の不調のことをいいます。これまでは更年期障害は中高年の女性が悩まされるものといわれていました。
しかし更年期障害に似た症状が閉経期に近い年齢ではない、20〜30代の女性に起こることがあります。
若い女性が更年期の症状に悩まされる場合を若年性更年期障害と呼びます。
一般的な更年期障害との違いはありますか?
一般的な更年期障害は、卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れで起こります。
一方、若年性更年期障害の多くは卵巣機能低下が原因で起こるわけではありません。自律神経の乱れやホルモンの分泌をコントロールする脳からの指令がうまくいかないことが原因で、起こるとされています。
ただ若年性更年期障害を放っておくと、子宮が萎縮して将来の不妊症につながる可能性もあり、また実は早期に卵巣機能が低下し、早期閉経を引き起こす早発卵巣不全の初期である可能性もあり、注意が必要です。
若年性更年期障害にみられる症状はなんですか?
若年性更年期障害の症状は基本的には一般的な更年期障害と同じで、心身に下記のような不調が現れます。
のぼせやほてり
手足の冷え
頭痛
めまい
動悸息切れ
肩こり
イライラ
不安
鬱
集中力の低下
不眠
上記が若年性更年期障害になった際にでやすい症状です。上記以外にも汗をかきやすくなったり、倦怠感を感じたり血圧の異常が起こるなど、さまざまな症状がでる可能性もあります。
症状が長く続くと月経不順や無月経、不妊症につながる可能性もあるため、症状が重い場合はとくに早めの治療を検討しましょう。
どのような人に多く発症しますか?
若年性更年期障害は、働く女性に多いといわれています。働き盛りである20代後半〜30代の女性は、もともとホルモンのバランスが崩れやすい年齢です。
仕事をしていれば疲労やストレスも溜まります。うまく発散ができないと、ホルモンのバランスが崩れてしまうのです。毎日忙しく、頑張りすぎてしまう方は注意をしましょう。
また、激しい運動をするスポーツ選手の方にも起こりやすいといわれています。
編集部まとめ

今回は20代〜30代の働き盛りの女性に起こる、若年性更年期障害についてのお話をしてきました。生活を送るうえで、疲れやストレスはどうしても起こります。
20代や30代の若いうちは少しくらいの無理もできてしまうものです。しかし、あまりに頑張りすぎてしまうと若年性更年期障害などの不調がでる可能性があります。
閉経の時期よりも早い年齢で更年期のような症状がみられる際は、まずは生活習慣を見直して改善しましょう。軽度であればそれだけで改善できる可能性があります。
ただし、中には治療が必要なケースや更年期障害によく似た症状がある疾患もあるため、自己判断は禁物です。
若年性更年期障害は早期治療が改善の鍵になります。若い方で更年期のような症状にお悩みの方は、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
参考文献
更年期障害|日本産婦人科学会
早期閉経|ヘルスケアラボ
簡略更年期指数(SMI)

