胸の圧迫感や締めつけられるような痛みは、虚血性心疾患のサインかもしれません。発症を防ぐためにはリスク要因を知り、生活習慣を見直すことが大切です。あかね台内科循環器クリニックの朝比奈先生に詳しく聞きました。
※2025年10月取材。
≫ 【1分動画でわかる】「虚血性心疾患」になりやすい人の特徴を医師が解説
監修医師:
朝比奈 直揮(あかね台内科循環器クリニック)
2011年聖マリアンナ医科大学卒業。東京大学医学部附属病院、日立総合病院、秦野赤十字病院、神奈川県立循環器呼吸器病センターなどを経て2024年あかね台さの内科クリニック院長(2025年より「あかね台内科循環器クリニック」に名称変更)就任。日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医。
虚血性心疾患とは? 胸痛の特徴は?
編集部
虚血性心疾患とはどのような病気ですか?
朝比奈先生
虚血性心疾患とは主に動脈硬化により、心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりして、血流が不足する病気の総称です。血液が不足すると心臓の筋肉(心筋)が十分に働けなくなり、胸痛や息切れなどが生じ、重症化すると命に関わることもあります。
編集部
胸痛はどのような特徴がありますか?
朝比奈先生
胸の真ん中を締めつけられるような強い痛みが典型的です。圧迫感や重苦しさ、灼熱感として表現されることもあります。安静時や夜間に起きる場合もあれば、労作時に出現することもあり、肩・腕・あごに痛みが広がることも特徴的です。
編集部
胸痛が軽くても虚血性心疾患の可能性はありますか?
朝比奈先生
はい。必ずしも激痛とは限らず、「胸が重い」「違和感がある」といった軽い症状で現れることもあります。特に高齢者や糖尿病のある人では痛みが弱く出やすいため、注意が必要です。
編集部
胸痛以外の症状もありますか?
朝比奈先生
息切れ、冷や汗、吐き気、強い疲労感などが伴うことがあります。症状は個人差がありますが、胸痛が数分以上続く場合や繰り返す場合は虚血性心疾患の可能性を疑い、早めに医療機関を受診しましょう。
リスク要因は?
編集部
虚血性心疾患の主なリスク要因は何でしょうか?
朝比奈先生
高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙は四大危険因子とされており、これらが動脈硬化を進め、冠動脈を狭くして虚血を起こします。複数の因子を持つほどリスクは高まります。
編集部
加齢や性別も関係しますか?
朝比奈先生
はい。加齢に伴い動脈硬化が進むため、年齢が上がるほどリスクは高まります。また、女性よりも男性の方が発症しやすい傾向があります。ただし閉経後の女性では、これまで血管や心臓を保護していた女性ホルモンの分泌量が減少するため、リスクが上昇するとされています。
編集部
生活習慣はどのように影響しますか?
朝比奈先生
食べ過ぎ、運動不足、過度の飲酒、ストレスはすべて動脈硬化の進行を早めます。特に塩分や脂肪分の多い食事は血圧や脂質に悪影響を及ぼし、発症の下地につながります。
編集部
いろいろなことがリスクになるのですね。
朝比奈先生
はい、そのほかにも睡眠時無呼吸症候群が虚血性心疾患のリスクになることもあります。睡眠時無呼吸症候群になると睡眠中に気道が塞がり、低酸素の状態と覚醒が頻繁に繰り返されます。その結果、自律神経が乱れて交感神経が過剰に働き、血圧上昇や心拍変動を引き起こします。さらに低酸素の状態が続くと活性酸素が過剰に発生し、血管が傷ついて動脈硬化が促進します。そのため、睡眠時無呼吸症候群を発症すると虚血性心疾患のリスクが高まるのです。
編集部
家族歴や遺伝はリスクになりますか?
朝比奈先生
家族に虚血性心疾患を発症した人がいる場合、遺伝的素因から発症リスクが高まることが知られています。たとえば、若い年齢で心筋梗塞などを起こした親族がいる人は、より注意が必要です。

