
今回は日本アルプスを代表する飛騨山脈が舞台。アングラーたちを惹きつけるイワナが佇む桃源郷とも言えるフィールドであるが、厳しい山岳環境の影響を無視することはできない。本番組はフライフィッシングの次世代を担う杉坂兄弟が、源流域での効果的アプローチ釣法から避けることのできないリスクマネジメントまで解説してくれるためオススメだ。
深山幽谷の代名詞でもある北アルプスの渓谷美
平地が30℃を超す中、雪渓が残る北アルプスの渓を目指し林道を歩き始めるアングラーたちこそ、次世代を担うフライフィッシング界のパイオニアである杉坂ブラザーズだ。
下界ではお目にかかれない草花と景色の中、実釣前の儀式とも見えるコーヒーブレイクタイムは、「リバー・ランズ・スルー・イット(A River Runs Through It)」を彷彿とさせる優美さを感じずにはいられない。
正直な話、ここだけでも源流釣行としての魅力を充分に伝えてくれる内容ではあるのだが、ここで終わらせないのが釣りビジョンVODとなっている。
実釣映像や釣果だけに拘った動画コンテンツやアプローチ方法は数多く見てきたが、それで完結しているメディアが多いことに飽き飽きとしている視聴者は、私以外にも多くいるだろう。
何故演者がその行動をして、どんな意図があったのかを紐解くことにより血肉として培われた技術を余すことなく目に焼き付けることができる。
山岳渓流がメインとなっている映像構成は場荒れに配慮しており、サステナビリティ溢れる立場が垣間見える。視覚情報としても演者が指南したポイントを余すことなく得ることが可能なため、アングラーたちに対する釣りビジョンVODの至れり尽くせりには感服する。
魅惑のフライアプローチにより翻弄されるイワナたち
「浮いてきたタイミングで投げた方がいいよね。」「見えない、おんなじ位置?」「もうちょい、下流」といった兄弟のコンビネーションから、釣りのあるべき姿のような童心への帰結を促す。
そういった思いも直ぐに取りさらわれ、白黒つけるスポーツのような意味合いに固着してしまう多くのアングラーたちに警鐘を鳴らしてくれる場面と言ってもいい。
物思いにふけるのもつかの間であり、ナチュラルドリフトでイワナたちを手玉に取る魔術師のような映像の連続は、フライフィッシャーであるならば歓喜の舞のオンパレードを強制されるようなものである。
山岳渓流の特徴上、不用意にアップストリームを駆使すると容易にドラッグがかかることでナチュラルドリフトは実現不可となるが、獲物に忍び寄るハンターの様な足運びから位置取りまで瞬き厳禁のテクニックがアングラー達に成長の機会を与えてくれるのは間違いない。

