すべてを知った新平は、おびえるすみれを優しく包み込む。再びかかってきた母からの電話に、新平は毅然とした態度で対峙する。「信仰は自由だが、強要は支配だ」と言い放ち、絶縁覚悟で家族の境界線を宣告し…。
夫にすべてを打ち明ける
「……全部、話してごらん」
新平は、泣き止まない美鈴を優しく受け取り、私をソファーに座らせました。私はふるえる声で、これまでかくしていたすべてを打ち明けました。
母が幼少期から宗教にのめり込んでいたこと。
私が何度も拒絶してきたのに、折にふれて執拗な勧誘が続いていたこと…。そして、今日、美鈴を勝手に教団の会員に登録したと言われたこと。
「ごめんなさい……こんなこと、新平さんに言ったら、私たちの関係までこわれちゃうんじゃないかって…こわくて」
私がヒザの上で拳を握りしめていると、新平は大きな手でそれをそっと包み込んでくれました。
「愛」じゃなくて「支配」
「すみれ、何を言ってるんだ。一人でそんなに苦しんでいたのに、気づけなくてごめん」
新平のひとみには、軽蔑ではなく、深い悲しみと静かな怒りが宿っていました。
「お義母さんが何を信じるかは、お義母さんの自由だ。でも、それを、すみれや美鈴に強要するのは、絶対にまちがっている。それは愛じゃなくて、ただの支配だよ」
その言葉に、私の心がスッと軽くなるのを感じました。
支配…そう、私は母の信じる「正しさ」にずっと支配され、そこから逃げ出せずにいたのです。

