母と対峙した夫
その時、私のスマートフォンが再びなりました。母からです。
「また、お母さんだ……!どうしよう、出たくない……」
おびえる私を見て、新平は静かに手を伸ばしました。
「俺が出るよ。いい?」
私はうなずきました。
新平はスピーカーモードにして、通話ボタンを押しました。
「もしもし、すみれ? さっきは……」
「お義母さん、新平です。今、すみれからすべて聞きました」
電話の向こうで、母が息をのむのが分かりました。
「あら…新平さん。すみれが何か言った?私はね、ただ、家族のしあわせを……」
「いいえ、お義母さん。すみれが話してくれたのは、彼女自身の『悲しみ』です。お義母さんが、彼女の意思をムシし、産まれたばかりの娘まで巻き込もうとしていることに、彼女は深く傷ついています」
「そんな……私は善意で……」
「善意なら、何をしてもいいわけじゃありませんよね。私たちは、お義母さんの信仰を否定はしません。でも、私たちの家族は全員、その宗教に入る気は一切ありません」
新平の声は低く、そしてゆるぎないものでした。
「もし、今後一度でも勧誘の話をされるなら、僕たちは『親戚』としてお付き合いを続けることはできません。美鈴にも、会わせるわけにはいきません。縁を切る覚悟で言っています」
「縁を切るなんて……そんなの、あんまりじゃない!」
母の取り乱した声がひびきます。しかし、新平はさらに言葉を続けました。
あとがき:盾となる人の存在
新平さんの言葉が、暗闇にいたすみれさんに光を灯してくれました。
「それは、愛じゃなくて支配だよ」という一言は、彼女が長年自分に言い聞かせようとしてできなかった真実です。血のつながりがあるからこそ、言えないことを、家族を守るために代弁してくれるパートナーの存在は、どれほど心強かったことでしょう。
母の言葉に流されず、何が一番大切なのかを突きつける新平さんの、ゆるぎない決意に、一筋の希望が見えたエピソードでした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

