「胃がん」はどんな手術方法で治療を行う?【医師監修】

「胃がん」はどんな手術方法で治療を行う?【医師監修】

手術は胃がん治療の中心となる方法であり、根治を目指すうえで重要な役割を担います。病期や病変の位置、範囲によって適切な術式が選択され、近年では身体への負担が少ない方法も普及しています。ここでは、早期がんから進行がんまで、それぞれに対応する手術療法について解説します。

水野 靖大

監修医師:
水野 靖大(マールクリニック横須賀)

【経歴】
京都大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院、北野病院、日赤和歌山医療センター、東京大学医科学研究所附属病院などで腹部外科医として患者の全身管理や救急の現場に従事。
2012年にマールクリニック横須賀(神奈川県横須賀市)を開院し、院長を務める。

【専門・資格・所属】
日本外科学会 外科専門医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本旅行医学会 旅行医学認定医

胃がんの手術療法と術式の選択

手術は胃がん治療の中心的な役割を果たします。がんを取り除くことで根治を目指す治療法であり、病期や病変の位置、範囲に応じてさまざまな術式が選択されます。

早期胃がんに対する内視鏡的切除

早期胃がんのうち、一定の条件を満たす場合は内視鏡的切除が可能です。内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった方法があります。これらは胃を切除せず、内視鏡を用いて病変部分を切除する治療法で、身体への負担が少なく、入院期間も短いという利点があります。

適応条件は厳密に定められており、がんが粘膜内にとどまっている、サイズが一定以下である、リンパ節転移のリスクが極めて低いなどの条件を満たす必要があります。切除した組織は病理検査で詳しく調べられ、もし想定より深く浸潤していた場合や断端にがん細胞が残っていた場合は、追加で外科手術が必要になることもあります。

内視鏡的切除後は、定期的な内視鏡検査による経過観察が重要です。再発や別の部位に新たながんが発生する可能性があるため、長期的なフォローアップが必要となります。

進行胃がんに対する外科手術

進行胃がんでは、胃の一部または全部を切除する手術が行われます。胃の下部にがんがある場合は幽門側胃切除術、上部にある場合は噴門側胃切除術、広範囲に及ぶ場合は胃全摘術が選択されます。また、がんの進行度に応じてリンパ節郭清も行われます。

近年では、腹腔鏡手術やロボット支援手術といった低侵襲手術も普及してきました。これらの手術では、小さな傷で済むため術後の痛みが少なく、回復が早いという利点があります。ただし、すべての症例に適応できるわけではなく、がんの進行度や位置によっては従来の開腹手術が選択されます。

手術後は、胃の容量が減少するため食事量が制限されたり、ダンピング症候群といった合併症が起こったりすることがあります。術後の生活については、栄養指導やリハビリテーションを通じて適応していくことが大切です。

まとめ

胃がんの主な原因はピロリ菌感染であり、早期発見・早期治療によって完治が期待できるがんです。まずはご自身のピロリ菌感染の有無を知り、感染している場合は除菌治療を受けることが効果的な予防策です。そのうえで、年齢やリスク因子(ピロリ菌感染歴、萎縮性胃炎、家族歴など)に応じて定期的な内視鏡検査を受けることで、胃がんの早期発見につながるでしょう。気になる症状がある場合や、ご自身の胃がんリスクについて不安がある場合は、消化器内科の医療機関に相談することをおすすめします。

参考文献

国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん」

日本胃癌学会「胃癌治療ガイドライン」

厚生労働省「がん検診」

日本消化器病学会「胃がん」

配信元: Medical DOC

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