●誹謗中傷の入り口は「理想の押し付け」
──ほかにも法的リスクに陥りやすいファンの特徴を教えてください。
「アイドルはこうであるべき」という理想を本人に押し付けがちな人です。
このタイプは、SNSや匿名掲示板で誹謗中傷を書き込みがちで、要注意です。特に推し活歴が長い中年以降に見られる傾向があります。
──具体的にはどのような言動が危険でしょうか。
「恋愛するな」「大学に行くな」といった要求から始まることが多く、さらに「アイドルとしての自覚をもて」と言い始めたら深刻なサインです。
アイドルと契約関係にある芸能事務所であれば、契約関係に基づいて「自覚をもて」と言える立場にあります。アイドル自身も、自らを鼓舞したり、ファン獲得やブランディングのために「メンバーとしての自覚」という言葉を使うことはあります。
しかし、ファン側がその言葉を使う根拠はありません。度を越せば、カスタマーハラスメントに該当する可能性もあります。
相手が嫌になったのであれば、何も言わずに距離を置き、ファンを辞める。それが最も健全な選択です。
●推し活の長期化に落とし穴
──ファンが注意すべき心構えは。
ファンクラブに入ると、ツアーの申込みが毎年ほぼ同じ時期に始まります。長く応援していると、考える間もなく「自動的に申し込む」ような行動習慣になっている人もいます。
事務所や運営サイドからしたら、この上なく理想的ですが、ファンの人生を長期的に見たとき、それが本当に望ましいかは別問題です。
ファンを始めたときは「夢の扉」を開けたような興奮がありますが、気づけば、自分の将来設計よりも先に、毎年のスケジュールが事務所に拘束されて、立ち止まって考える時間を失っていく。
そして、あなたがその人生のタイミングでしか経験できなかった時間が過ぎ去っていたことに、後から気が付くことになりかねません。
交際や結婚、転職、あるいは推しメンの卒業など、どこかで区切りをつけ、新しいスタートを切るという選択肢も持っておくことが大切です。

