「適応障害とうつ病の違い」はご存知ですか?それぞれの診断基準も解説!【医師監修】

「適応障害とうつ病の違い」はご存知ですか?それぞれの診断基準も解説!【医師監修】

【適応障害とうつ病】治療法の違い

【適応障害とうつ病】治療法の違い

適応障害の治療法を教えてください

適応障害の治療はセルフケア、そして精神療法、薬物療法を組み合わせて行われます。まず原因となっているストレスから可能な限り離れることが大切です。仕事が原因であれば休職、学校が原因であれば学校を休むことを検討するなど環境調整を行います。ストレス因子そのものをなくすことが難しい場合でも、仕事の量を調整するなど、ストレスの影響を軽減するための対策をとります。

適応障害の治療として、精神療法が行われることがあります。精神療法は、医師や臨床心理士などとのやり取りを通じて、患者さんが自分の感情や考え方を見直し、問題を理解することで対処法をみつけ、克服しようとする治療法です。症状に応じて薬物療法が用いられることもあります。ただし、適応障害そのものを治す薬はありません。不眠や強い不安感、抑うつ気分などに対する対症療法として、医師の判断で薬が処方されることがあります。

うつ病はどのように治療しますか?

そのうえで、抗うつ薬による薬物療法が治療の中心です。抗うつ薬は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを改善する薬剤です。抗うつ薬が効きにくい場合は、ほかの種類の抗うつ薬に変更したり、少量の抗精神病薬や気分安定薬を併用したりすることもあります。睡眠障害や不安が強ければ、睡眠薬や抗不安薬を補助的に使うこともあります。

精神療法も重要な治療手段です。代表的なものには認知行動療法があります。物事を悲観的、否定的にとらえてしまう考え方の偏りを修正していきます。なお、重症で薬物療法、精神療法に反応しない場合には、電気けいれん療法(ECT)や反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)などの治療法が検討されることもあります。

適応障害とうつ病の治療法の違いを教えてください

適応障害では、原因となっているストレス因子から離れることが根本的な治療です。一方、うつ病では、脳内の神経伝達物質の働きを改善させるための抗うつ薬が治療の柱です。適応障害でも薬物療法が選択されることはありますが、適応障害そのものを治すわけではなく、眠れないといったそれぞれの症状を和らげるために使用されます。

編集部まとめ

編集部まとめ

適応障害とうつ病の症状は似ている部分も多く区別が難しいですが、原因や経過、治療方針に違いがあります。ただし、いずれの場合でも症状がみられている場合は、医療機関への相談が必要です。適応障害もうつ病も病状が進行してしまう可能性があるため、気になる症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。

参考文献

『適応障害』(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳 厚生労働省)

『うつ病』(こころの情報サイト 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。