久米宏は「大賛美」を望んだのか 報ステ追悼に覚えた違和感、「静かに一番安いソバをすすっていた」革命児の実像

久米宏は「大賛美」を望んだのか 報ステ追悼に覚えた違和感、「静かに一番安いソバをすすっていた」革命児の実像

●緻密に作戦を練り「やるべきこと」を演じ切っていた

スタジオで記者解説として隣の席に座り、会話をしていても、久米さんは冷静な目をしていたと思う。冷たいというより、徹底して醒めている。これこそが、テレビマン・久米宏の本質だったのではないかと思う。

僕は、テレビ出演者には大きく二つのタイプがいると思っている。画面の中と外で、まったく変わらない人。たとえば明石家さんまさんは、その代表例だろう。

そしてもう一つが、画面の中と外で、まったく別の顔を持つ人。久米さんは間違いなくこちらだった。

このタイプの人は、緻密に作戦を練ってオンエアに臨む。今日の放送で「伝えるべきこと」を冷静に突き詰めて考えて、そのために「最も効果的である方法」は何か考え抜く。そして全力で演じ切る。

たぶん久米さんはいつも冷静だった。そして「やるべきこと」を最後までやり切る人だったのだと思う。

●「ニュースが特別ではない」ことを見抜いたのが久米宏という人物

久米さんが偉大だったのは、「ニュースは特別なものではない」ということを見抜き、ニュースをニュースの枠からはみ出させた点にある。

僕は前から「ニュースよりバラエティやドラマのほうがニュースである」と感じている。優れたバラエティ番組やドラマは、ニュース番組以上に人間の本質を深く描き出している場面に出会うと、「やられた」と思うのだ。

かつてのニュース関係者は、こうした感覚をなかなか認められなかった。「放送局の中でニュース番組が一番偉い」と信じていたからだろう。

久米さんはそれをひっくり返した。「伝えるべきことを伝えるためには、バラエティ的なものでもドラマ的なものでも、どんな手段を使ってでも伝えればいい」。そう明確に示し、「大切なことを伝えるために、面白く、わかりやすいニュース」を実行した。

久米宏は「ニュースは偉くない」と高らかに宣言した人物だった。その結果、ニュース番組が伝えられる世界は、大きく広がったのだと思う。

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