福岡市は1月13日、SNS上で「誤情報」を投稿したアカウントについて、発信者情報開示請求の手続きを進める方針を公表した。
福岡市城南区で1月6日、30代の女性と子ども2人が死亡しているのが見つかった出来事をめぐり、「生活保護を申請して断られた母子3人が死亡した」などとする動画がSNS上に投稿され、拡散していた。
生活保護を担当する市の保護課は、弁護士ドットコムニュースの取材に「誤った情報が拡散することは、生活保護制度の信頼に関わる。福岡市では、生活にお困りの方にさまざまな支援をしている中で、支援を必要とする方が誤った情報を受けて行政への相談を躊躇しかねない」と説明した。
市によると、生活保護をめぐって、発信者情報開示請求に踏み切るのは今回が初めてだという。
●1時間に及ぶ電話もかかってきた
福岡市は1月8日、SNS上で「福岡市で生活保護を断られた母子3人が亡くなった」という誤った情報が拡散していることを確認した。
動画はXやTikTokなど、複数のSNS上で投稿されていた。
市は1月9日、誤情報について注意を呼びかけ、さらに13日には発信者情報開示請求の手続きを進める方針を明らかにした。

福岡市保護課は取材に対し、1月6日に城南区で母子3人が亡くなった事案について、「生活保護を申請して追い返した」といった投稿内容は事実ではないと否定した。
誤情報の拡散を受けて、福岡市や城南区などには、1月14日朝までに、電話やメールで計約60件の問い合わせや苦情が寄せられたという。
「生活保護申請のために追い返されたとあったが、本当か」といった内容が多く、職員が「事実ではない」と説明して納得する人もいれば、納得せずに電話を続ける人もいた。
通話は最長で1時間に及んだケースもあったという。
市が厳しい対応に踏み切った背景には、誤情報の拡散によって、生活保護や各種支援の申請をためらう人が出てはいけないと考えたからだという。
●開示後の対応については未定
一般に発信者情報開示請求のためには、どのような権利侵害を受けたのか具体的に主張する必要がある。
個人や企業などが請求主体となる場合、名誉毀損や侮辱、信用毀損、業務妨害などが問題になることが多い。
開示が認められ、投稿者の氏名や連絡先などがプロバイダから提供された場合、損害賠償請求などの法的措置や、示談を求める対応に進むケースもある。
保護課は取材に対して、今回の開示請求における具体的な主張内容や、開示が認められた後の対応については「手続を進めていく中で検討していくことになる」としている。 (弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

