グレーゾーンの具体例
それでは、グレーゾーンの具体例を紹介します。
・服や車椅子に「徘徊」「転倒注意」などの札・シールを貼る
服や車椅子に「徘徊」「転倒注意」などの札・シールを貼る行為は、一見すると安全対策や情報共有のために見えます。
しかし、本人からすると“危険人物”のようにラベルを貼られた感覚になりやすく、尊厳(その人らしさ)を傷つける可能性があります。
また、来客や他利用者様にも見えてしまうため、プライバシーの面でもグレーになりやすい対応です。
代替え案としては、必要な情報は申し送りや記録、職員だけが見える場所で管理することが望ましいです。
・利用者様に鈴をつける
利用者様に鈴をつける行為は、「居場所が分かる」「転倒や離床に早く気づける」など、安全対策として行われることがあります。
しかし本人からすると、動くたびに音が鳴ることで恥ずかしさや不快感、不安につながりやすく、“監視されている”と感じる場合もあります。
たとえ悪意がなくても、尊厳(その人らしさ)やプライバシーを損ねやすいため、グレーゾーンになりやすい対応です。
代替案としては、まず「なぜ動きたくなるのか」(トイレ不安、痛み、不眠、夕方の落ち着かなさなど)を見立てて原因に対応することが基本です。
加えて、低床ベッドや夜間照明、動線整理など環境調整で転倒リスクを下げれます。
・「なくすと困るから」で、 必要な用具を使わせない
メガネ・補聴器・入れ歯など、生活に必要な用具を「紛失すると困るから」と使わせない対応は、管理のつもりでもグレーゾーンになりやすい関わりです。
本人は見えない・聞こえない・噛めない状態になり、不安や混乱が強まったり、コミュニケーションが取りにくくなったりします。
代替案としては、紛失対策を先に整えることが基本です。
たとえば、名前記入や保管ケースの使用、置き場所(定位置)を決めて職員間で共有すると良いでしょう。
グレーゾーンが発生する要因

グレーゾーンが発生する要因は、大きく3つです。
一つめは、忙しさ・人手不足が続くと、どうしても「利用者様に合わせる介護」より「現場を回す介護」が優先されがちです。
急かす声かけや後回しが増え、気づかないうちに関わりが雑になっていきます。
二つめは、職員の対応がバラバラなことです。
これは「現場あるある」ですが、グレーゾーンを生みやすい要因になります。
たとえば同じ訴えでも、ある職員はすぐ対応するのに、別の職員は「あとでね」で流す。
トイレや水分、コール対応の基準が人によって違うと、利用者様は「誰に言えば叶うのか」を探すようになり、訴えや行動が増えやすくなります。
すると現場はさらに忙しくなり、イライラや強い口調、後回しが増えて…と悪循環に入ります。
三つめは、「安全」を理由に管理が優先されることも要注意です。
転倒や徘徊を防ぐ目的でも、本人の意思や尊厳より「管理しやすさ」が前に出ると、グレーは黒に近づきます。
大切なのは、目的と手段がズレていないかをチームで確認することです。

