6歳児の命はなぜ守られなかったのか 神戸市の検証委が突きつけた「防げた可能性」と縦割り行政の弊害

6歳児の命はなぜ守られなかったのか 神戸市の検証委が突きつけた「防げた可能性」と縦割り行政の弊害

●組織内の「心理的安全性」が欠如

報告書がさらに指摘したのが、組織内の「心理的安全性」の欠如だ。

「区役所や児童相談所の担当職員が懸念することがあっても、部署内や部署外で率直にその意見を話し、その意見が取り上げられ、議論される場所や雰囲気が欠けていて実際にオープンな議論による意思決定は行われなかった」

現場の職員の中には危機感を抱いていた者もいた。しかし、その声は組織としては吸い上げることができなかったとされる。

●「ヒヤリ・ハット」をインシデント扱いに

再発防止策として、報告書は、航空業界や医療業界で用いられている安全管理の考え方を導入すべきと提言する。

誰か一人でも子どもの安全面の懸念を感じた場合には、アセスメントを再検討するなど、複数のチェックポイントを働かせたり、重大事例に至らない「ヒヤリ・ハット」でもインシデントとして取り上げる仕組みを構築すべきとしている。

報告書は、次の言葉で締めくくられている。

「本児が感じた恐怖、身体に受けた苦痛、そしてその死に報いるよう、そして虐待から子どもを守るための社会のシステムがより有効に機能していくことに、本委員会での検証結果と提言が生かされ、虐待やその連鎖を断ち切ることができる社会に一歩でも近づくことを、検証委員一同心から願っています」

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