義両親からの嫌味は、日常のBGMと化していた。特に、娘の前で言われる悪意ある言葉に、ありさの心は深く傷つく。夫に相談するも「真に受けなければいい」と突き放され、ついに心が折れて家を出ることに…。
義母の悪意
「あら、満くんのお弁当、今日もお肉?毎日じゃ飽きないかしら?」
「彩りがね、もっとこう、華やかな方がいいんじゃない?」
冷蔵庫の前で、満のお弁当にブロッコリーを詰めていた私に、義母はいつも通り優しい声で言った。 その声には、一切の悪意も含まれていないように聞こえる。だからこそ、たちが悪い。 私は「そうですね…ハハハ」と曖昧に返事をするのが精一杯だった。
同居して1年。 義母の嫌味は、日常のBGMになっていた。 満が朝食を食べながら「あー、今日だるいな」と漏らせば「栄養が足りてないんじゃない?最近ちょっと出来合いのものが多いもんね?ありささん?」と嫌味を言われる。
メグの洋服を買いに行けば「それはありささんの好み?いいんじゃない?ちょっと派手かなと思うけどね」と横から口を出す。
最初こそ義両親に褒められたいからと、いちいち言われたとおりにしようとしたが、今ではあきらめた。だって、私が何をしても結局嫌味を言われるから。
一番嫌だった言葉
一番堪えたのは、メグの前で言われるある一言だった。
メグが泣いていると、わざとらしいほどに顔をしかめて
「あーあー、泣かされてかわいそうね」
「嫌なママねえ」
とメグを抱き上げて私に冷たい視線を送る。 それがしつけのために言い聞かせている場面だったとしても、そこで話の腰が折れてしまう。わが子のためにしていることなのに「嫌なママ」と言われるのがたまらなくつらかった。
義父も、孫をかわいがってくれるのはいいが、私には冷たかった。 ちょっとメグの頬が赤くなっているのを見たら
「ママに叩かれたりしてないか?」
とこっそり聞いている。メグは「かゆくてこすっちゃったの」と自分で伝えてくれるけれど、その質問そのものがストレスだった。
夜、ベッドに入ってから、私は満にそのことを話した。
「お義母さんもお義父さんも、子どもの前で私を悪く言うのはやめてほしいの。満、何か言ってあげてくれない?」
満はスマホをいじりながら、面倒くさそうに言った。
「冗談で言ってるんだよ。いちいち気にしなきゃいいだろ?メグも気にしてないよ」
そういうことを言っているんじゃないのに。私の思いが伝わらず、気持ちは曇っていくばかりだった。

