ベーカー嚢胞という言葉を聞いたことはありますか?膝窩嚢胞(しっかのうほう)のことで、膝の裏に水がたまる症状です。原因は関節が長期間受け続けた「摩擦」です。
膝裏がつっぱり、痛みがあるなど慢性的にも違和感を覚える場合は受診を検討しましょう。
ご自身の体を知ることが病気への気づきの第一歩となります。
若いから大丈夫とも限りません。小さなお子様でも罹患することがあり、50代以降の方に多くみられる症状ですので理解を深めておきましょう。
※この記事はメディカルドックにて『「ベーカー嚢腫」を発症すると現れる初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
小池 達也(医師)
大阪市立大学医学部卒業。現在は白浜はまゆう病院整形外科所属、骨リウマチ疾患探索研究所所長、大阪市立大学大学院医学研究科高齢者運動器変性疾患制御講座を兼務。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医。
ベーカー嚢腫の予後と放置するリスク

ベーカー嚢腫は治りますか?
ベーカー嚢腫と診断を受けて手術を行い、術後1か月程で患部の症状が良くなり3か月後には仕事に復帰され、3年以上経過しても再発がないケースがあります。手術による治療はよく担当医と相談をする必要があり、手術以外の保存療法で改善に向かうことも可能です。滑液を吸引して取り除く治療を行い、手術をしても再発するケースはありますが、べーカー嚢腫の原因を知り改善ができれば再発する可能性も下がります。例えば高齢者の場合、長期の摩耗で減ってしまった軟骨は元に戻すことは難しいですが、膝への負担を抑え太ももの筋力を強化することで進行を抑えることが可能です。
そもそもの再発の原因が摩擦であるなら、そうならない生活を意識する必要があり、痛みを感じる動作は進行をさせていくことに繋がるためご自身の体と向き合うことが大切です。
具体的にどのような動作が進行を進めていくのかは、以下の「やってはいけないこと」にも記載していますので是非参考にしてください。
やってはいけないことはありますか?
気を付けるべき行為は下記のような膝関節に負担をかける動作です。正座をする
長時間の歩行・同じ姿勢でいる
重い荷物を頑張って持つ
急に止まったり動いたり、体をひねる
太る
運動不足
ストレスをため込む
お薬やサプリメントに頼る
例えば階段の昇降は膝に体重の4~7倍、走ったりジャンプしたりする行為は膝に体重の10倍の負荷がかかります。肥満やO脚の方も膝への配慮が必要です。歩く動作も体重の2~4倍負荷がかかるため、肥満の方は1㎏減らすだけでもかなり負担を減らせます。
また、痩せすぎの場合も体を支える骨・筋肉の強度が落ちてしまうため適度な体重維持も必要です。お薬やサプリメントも大切ですが、再発のことも考慮しバランス良い食事・運動などの基本が大切です。
ベーカー嚢腫を放置するリスクを教えてください。
症状がない場合は放置しても問題はありません。症状がある場合は膝の曲げ伸ばしの邪魔になり、違和感や痛みと長期で付き合うことになります。嚢胞内に液体が溜まることでその周りの神経や血管を圧迫し続けますので、むくみが生じやすいです。変形性関節症の方は関節の変形が進行しやすくなりますので、早めに受診をして治療することで早期回復が可能になります。悪性疾患ではないため気にならない程度であれば経過観察で良いですが、症状の進行状況次第では早めに受診をお奨めいたします。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
膝に負担がかからない運動・ストレッチがオススメです。膝が痛いからといって何もせずにいるよりは膝周りの筋力が維持され、筋肉がほぐれて血行も良くなり痛みが緩和されます。骨を強くする食事として、カルシウムはもちろんビタミンD・ビタミンKを意識的に摂ることがお奨めです。筋肉をつける食事としてタンパク質をはじめビタミンB6を多く含むバナナ・マグロ・カツオなども積極的に採ることをお奨めします。
編集部まとめ

今回はベーカー嚢胞について解説しました。ベーカー嚢腫は悪性ではないですが、誰しもが罹患する可能性があるのですね。
適切な治療を受けることで改善に向かいますので怖がる病気ではありません。
体が痛いとあらゆることに対して意欲も低下しやすくなるものです。いくつになっても自分の足で好きな場所に行けること、QOLの向上を目指したいですね。
膝が痛い方、状態によって最適な治療法がありますので、担当医師や理学療法士の方のアドバイスをもとに治療に取り組んでいきましょう。少しでもお役に立てましたら幸いです。
参考文献
変形性膝関症について(ひざ関節症クリニック)

