あかつき通りの灯りは、ネオンよりも、ほのかな明かりが似合う。焼き鳥の煙、笑い声。そのざわめきの奥に、ふっと静けさを忍ばせたような店がある。『楽てん 布施店』。
土壁と控えめな看板の奥に、無口な職人と、やさしい女将が待っている。
メニューはいらない。ただ、「おまかせで」と預けるだけ。そんな夜は、気づけば肩の力が抜けて、自分を取り戻せる気がする。

にぎわいの路地に、静けさを仕込む
布施駅から少し歩いた先。焼肉屋やバーが連なるあかつき通りは、酒好きにはたまらない通りだ。そんなにぎやかな場所の片隅で、そっと呼吸を整えるように佇むのが『楽てん布施店』。
土壁に小ぶりな看板。通り過ぎそうな静けさが、かえって気になる。店というより、目印のない待ち合わせ場所みたいだ。
空気がやわらぐ、和の余白

のれんをくぐると、音のトーンがすっと変わる。カウンター10席、小上がりの掘りごたつが3卓。席と席のあいだにちゃんと“余白”があるから、自然と心までゆるむ。
カウンターの中では、寡黙な大将が黙々と包丁を握っている。その所作には、誇張のない美しさがある。
隣では、女将がふっと笑って「ようこそ」と迎えてくれる。その一言が、最初の一杯より先に、体をほぐしてくれる。
