「食品ロス」を減らすために一番大切なこととは…
そこから「何か私にできることがあるのはないか」「どうすれば廃棄を少しでも減らせるのか」といったことを考えるようになり、渡貫さんは食品ロス問題に取り組むようになっていく。
「日々捨てられていくものをどう減らしていくか。飲食に関わる者として、飲食の現場からもできることが何かあるんじゃないかということをずっと模索しながら活動をしています」
家庭での取り組みとして一番大切なのは、「買いすぎないこと」だと断言する。
「買い物リストを持って行く人と持って行かない人では、持って行かない人のほうが廃棄が多いという統計があるそうです。リストがないと、あれも食べたい、これも食べたい、これが特売だから、みたいになって買いすぎる。買いすぎた結果、期限が切れて、それが廃棄になってしまうんです」
渡貫さんは、今年の6月に『私たちの暮らしに生かせる 南極レシピ』という本を出版した。これはゴミをなるべく出さずに料理をするためのレシピ本となっている。
「例えば、白いネギの青い部分を使う方もいると思いますが、そういった部分からもう1品できたらうれしいですよね。ブロッコリーの芯などから1品作れたら、環境にも懐にもやさしい。なので、南極での経験をもとに、日本の家庭のキッチンでもできるようなレシピをまとめさせていただきました」
南極では後半になると冷凍の野菜ばかりを使っていたため、冷凍野菜のおすすめレシピも多数掲載されている。
「冷凍の揚げナスは、特におすすめです。そもそも家庭で揚げるのは嫌ですよね。揚げてあってヘタもカットしてあるので、残りカスも一切出ずにそのまま調理に使える。お味噌汁に入れたり、パスタに入れたり、ナスの揚げ浸しだったり、なすとひき肉の辛味噌煮だったり、すぐに1品できちゃいます」
料理を作ることと食べることでは、渡貫さんはどちらかというと作ることのほうが好きだという。
「私が生まれた故郷は、外食ができる場所の選択肢が少なかったんです。料理番組とかを見て、これを食べてみたいと思っても街では食べられない。それなら自分で作ろう、自分が食べたいがために作ろうというのが、そもそも料理人になったきっかけでもあるんです。作ったことで喜んでもらえることもうれしい。悪魔のおにぎりも材料は大したことがないのに、食でいろいろな人のサポートができたのは、料理人としての面白さですよね」
今後の展望に関しては、「日常のごはんを大切にしていきたい」と語る。
「特別なときに使うというよりは、日常で食べるものをもっともっと大切にできたらなと思っています。毎日3食食べる、日常に寄り添える、そういった食事を大切にしていきたいと思っています」
(TEXT:山田周平)
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第55回・第56回(12月5日・12日配信) 渡貫淳子さん
南極シェフ/青森県八戸市出身。調理師専門学校卒業後、同校職員を務める中で調理技術を磨く。出産後に専業主婦としての生活を送るも、南極での挑戦を決意。30代で南極地域観測隊の調理隊員を目指し、3度目の挑戦で第57次南極地域観測隊に参加を果たす。厳しい南極の地で隊員たちに栄養と士気を支える料理を提供。帰国後は講演活動やメディアで南極での経験を活かした料理の工夫を披露。特に「悪魔のおにぎり」は大きな話題を呼び、日本テレビ「世界一受けたい授業」にも出演し、多くの人々の関心を集めた。著書『南極ではたらく かあちゃん、調理隊員になる』(平凡社)、『私たちの暮らしに生かせる 南極レシピ』(家の光協会)などがある。
クックパッド株式会社 小竹 貴子
クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。 趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。
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