筆者の体験談です。重度知的障害がある長男の「いつもと違う」サインを見逃し、痛みで苦しむ彼を怒ってしまった朝。「骨折」が判明した時の私の後悔と自責の念。その経験が「怒ること」から「寄り添うこと」への大きな転換点となりました。
長男の異変
朝のバタバタした時間。
重度知的障害がある20歳の長男が、いつもはスムーズに着るジャンパーに手こずっていました。
次男のスクールバスの時刻が迫っていた私は、余裕をなくし「早くして!」とつい強い言葉で急がせてしまいました。
しかし、何かがおかしいのです。長男の表情がいつもと違います。
よく見ると、右腕を上げる時に顔をしかめていました。
「痛いの?」と聞いても、意思疎通が難しい長男は、ただ痛みをこらえるように顔をしかめるのみです。
昨日も今朝も兄弟で激しく喧嘩していたので、「もしかしてどこか痛めたのかも」という不安がよぎりました。
念のため整形外科に連れて行くことにしましたが、この時はまさかこんな大事になるとは思ってもみませんでした。
骨折の診断
病院に到着し、レントゲンを撮ることになりました。
長男がレントゲン室から出てきたので上着を着せようとすると、技師さんが慌てた様子で
「骨が折れているから、上着は今は着せない方が良いかも」と言いました。
「骨折? 脱臼じゃなくて、骨折?」
頭が真っ白になりました。
診察室に入り、医師から説明を受けました。
「右腕の上腕骨が折れています。今のところは圧迫固定して自然に癒合するのを待ちますが、もし固定している状態が耐えられずに腕を動かしてしまうと、ズレを抑えるためにボルトを入れる手術が必要になります」
「手術」という言葉に、私は動揺しました。長男は痛みや不安を言葉で伝えられません。
どうやって「手術」というものを説明すればいいのでしょうか。
そして何よりも長男が痛みで苦しんでいたのに、私は焦りから怒ってしまったのです。
その自責の念が胸を締め付けました。

