SNSに続く「第二の異変」
真由美さんとの電話から数日後。私は週末の夕食の準備をしていました。キッチンで野菜を刻んでいると、リビングから夫の和也の重苦しいため息が聞こえてきました。
「どうしたの? 仕事のメール?」
私が声をかけると、和也は困惑しきった表情でスマートフォンの画面を私に向けました。そこには、義兄の健一さんからの、目を疑うような長文のLINEが表示されていました。
「和也、悪いんだけど美咲さんに確認してほしいことがある。真由美のSNSの件、前に話しただろ?
それと、実家にある俺たちの家族写真のことなんだけど、昨日見たら子どもの顔のところがペンで黒く塗られてたんだよ。ちょっとひどいイタズラだろ?
違うと思いたいけどさ、美咲さんになにか知らないか聞いてくれないか?」
心臓が早鐘を打ち、持っていた包丁を置く手が震えました。落書き? 私が?
「ちょっと待って?これ私のことを疑ってるよね?なんで?」
和也も慌てて義兄に電話をかけてくれましたが、漏れ聞こえる義兄の考えはひどいものでした。
「真由美と話したらさ、中傷された内容を話した相手に心当たりがあるんだよ。美咲さんには習い事の話をしたこともあるし『そんなに習わせられてうらやましい』って言ってたって。それに、親父やお袋が俺たちの子を褒めているとき、美咲さんはいつもつまらなそうだって。そういうちょっとした嫉妬心でやっちゃったってことも、ほら、ないとは言えないだろ?」
あまりの理不尽さに、めまいがしました。確かに、真由美さんの家は裕福で教育熱心です。私は社交辞令で「羨ましいです」と口にしたことはあります。でも、それはただの会話の一部であり、嫉妬の炎を燃やすようなことではありません。
ましてや、義実家のリビングという、いつ誰に見られるかわからない場所で写真に落書きをするなんて、正気の沙汰とは思えません。
疑われたことへのショックは計り知れない
「絶対にやってない! 誓って、そんな卑怯なことはしないよ!」
夫が電話を切るとすぐにそう主張しましたし、夫も私ではないと主張してくれていました。でも一度「犯人」というフィルターを通した彼らには、私の抗議さえも「必死な隠蔽」に感じられてしまうのかもしれません。
信頼していた親戚から、突然「嫉妬に狂った加害者」として扱われる屈辱。その夜、私は一睡もできず、暗闇の中で自分に向けられた根拠のない悪意に震えていました―――。

