末期の心不全の治療法
末期の心不全の治療は、心不全の完治を目指すものではなく、症状の緩和と生活の質の維持を要視したケアが中心となります。在宅医療や看取りの準備も検討する必要があります。以下にその内容をご紹介いたします。
薬物療法
末期の心不全では、息苦しさやむくみが強いため、まずはこの状態を和らげる治療を行います。利尿薬、強心薬(ドパミンやドブタミンなど)が使用されます。ただし、薬の効果が徐々に限界に達し、有効性が発揮されなくなることがたびたびあります。
酸素吸入
末期の心不全では、呼吸困難が強い場合が多いです。対処法として、酸素吸入によって呼吸困難をやわらげる治療が行われます。酸素は経鼻カニューレやマスクを使って投与されることが多いですが、末期では人工呼吸器に至るケースもあります。酸素吸入は根本治療ではありませんが、症状緩和に非常に重要です。
緩和ケア
末期の心不全では、痛みや呼吸困難、不安などを軽減する総合的な治療として「緩和ケア」が重要となります。モルヒネを用いて呼吸困難による苦しみを和らげたり、抗不安薬で精神的なつらさを緩和したりします。また、医療多職種の協力のもと、患者さん本人の意思や家族の希望を尊重しながら、穏やかな時間を過ごすことを目指します。
心不全を予防する方法
予防の基本は良い生活習慣を継続することです。具体的には、以下の5つが特に重要です。各々の項目についてご説明いたします。
塩分制限
食事の中でも、最も重要なのは塩分制限です。塩分の多い食事をとり続けると、体内の血液量が増加し、心臓の負荷が増加します。過剰な塩分摂取をさけ、6~8g/日程度に控えましょう。
血圧管理
血圧が高い状態が続くと、心臓に負荷がかかり、心臓のポンプ機能が落ちてきます。そのため、心不全のリスクを高めます。収縮期血圧(上の血圧)130 mmHg未満をめざしましょう。[32] 目標値に達しない場合は、内科や循環器内科を受診しましょう。
過剰なストレスを避ける
過剰なストレスは交感神経を活性化するため、血圧や脈拍を上昇させます。防止策として、自分なりのリラックス方法をみつけましょう。深呼吸や瞑想などが手軽なリラクゼーション法です。
適度な運動
有酸素運動や筋力トレーニングを行うと、心臓の対応能が向上し心不全のリスクが下がります。ただし、心臓疾患にすでに罹患している患者さんは、かかりつけ医に相談のうえ、運動内容を決めましょう。
睡眠
7~8時間の質の良い睡眠をとることが大切です。[33] 短すぎる睡眠や睡眠の質の低下は、高血圧や自律神経の乱れを引き起こし、心臓に負担をかけます。就寝前のスマートフォンやカフェインの摂取を控え、規則正しい生活リズムを保つことが良い睡眠を目指すためには必要です。

