「仕事終わりに飲みたくなる理由」は医学的に説明できる! ストレス・低血糖と飲酒欲求の関係を医師が解説

「仕事終わりに飲みたくなる理由」は医学的に説明できる! ストレス・低血糖と飲酒欲求の関係を医師が解説

「今日こそは休肝日」と決めたのに、夕方になるとお酒が急に飲みたくなることはありませんか? じつはお酒を急に飲みたくなる衝動は、あなたの意志が弱いからではありません。脳の仕組みや栄養不足が深く関係しています。そこで、「急な飲酒欲求の科学的な原因と、今すぐできる具体的な対処法」について「SUGAR」の佐藤先生に回答してもらいました。正しい知識で、我慢せずにお酒と付き合えるようになりましょう。

佐藤 将人

監修医師:
佐藤 将人(SUGAR LLC)

「健康的に豊かに生きる」を理念に人的資本経営コンサルティングを手がける企業SUGAR代表医師。宮城県仙台市を拠点に、社員の心身のメンテナンスや企業の組織運営などの経営を支援する事業を展開。医学の知見を生かし肉体改造してシックスパックを達成したり、精神心理的知見からメタ認知的活動に従事。東北大学医学部医学科卒業、日本医師会認定産業医、中小企業診断士、労働衛生コンサルタント(保健衛生)臨床心理士、JSPO公認スポーツドクター、日本肝臓学会専門医、日本外科学会専門医、元仙台市食育推進会議委員、ヴィーガン。

飲酒欲求の正体とは?

飲酒欲求の正体とは?

編集部

夕方になると急にお酒が飲みたくなることがあります。これは意志が弱いからでしょうか?

佐藤先生

意志の弱さが原因ではありません。急な飲酒欲求は、脳の「報酬系」という回路が引き起こす生理的な反応です。アルコールを摂取すると、脳内で「ドーパミン」という快楽物質が分泌されます。脳はこの快感を強く記憶しており、ストレスや疲れを感じた際に「手っ取り早く快感を得て不快を消したい」と判断します。その結果、あなたの意志とは無関係に、脳がアルコールを強く求める指令を出してしまうのです。これを「渇望(クレービング)」と呼びます(※1)。

編集部

ストレスが溜まると無性に飲みたくなるのはなぜですか?

佐藤先生

ストレスホルモンである「コルチゾール」と、脳の防御反応が関係しています。強いストレスや不安を感じると、脳は緊急事態と判断し、リラックス効果のある物質を求めます。過去にお酒で嫌なことを忘れた経験があると、脳はその回路を優先的に使用しようとします。つまり、脳がストレスから自分を守るための鎮静剤として、お酒を要求している状態なのです(※2)。

編集部

毎日飲まないと気が済まないのは、依存症の始まりなのでしょうか?

佐藤先生

習慣的な飲酒が続くと、脳の構造が変化して「耐性」がついている可能性があります。アルコールによる強い刺激を受け続けると、脳はバランスをとるためにドーパミンの受容体を減らしてしまいます。すると、お酒がない状態ではドーパミンがうまく働かず、楽しさを感じにくくなったり、不安感が強まったりします。「お酒を飲んで初めて普通の状態に戻れる」と感じる場合は、脳がガス欠を起こしているサインかもしれません。早めに休肝日を設けることが大切です(※3)。

お酒を飲みたくなる「トリガー」を知る

お酒を飲みたくなる「トリガー」を知る

編集部

夕方になると急に飲みたくなる理由を教えてください。

佐藤先生

夕方の飲酒欲求は、脳のエネルギー不足(低血糖)が大きな要因の一つです。知っている人も多いかもしれませんが、お酒が飲みたくなるHALTという法則の一つでもあります。つまり、仕事終わりでお腹が空いているとき、血糖値が低下しています。すると、理性を司る脳の「前頭前野」へのエネルギー供給が不足し、衝動を抑えるブレーキが効きにくくなります(※4)。また、脳は「空腹」と「飲酒欲求」を混同しやすく、単にエネルギーを求めているだけなのに「お酒が飲みたい」と勘違いすることがあるとも言われています。まずは食事やおにぎりを一口食べてみると、嘘のように欲求が消えるかもしれないので、試してみてください。

編集部

「HALTの法則」とは何ですか?

佐藤先生

飲酒欲求を引き起こす4つの代表的な状態の頭文字をとったものです(※5)。
● Hungry(空腹・渇き):お腹が空いていないか、喉が渇いていないか
● Angry(怒り):イライラしていないか
● Lonely(孤独):寂しさを感じていないか
● Tired(疲労):疲れていないか
 
自分が「飲みたくなる」瞬間を振り返り、これらに当てはまるか確認してみてください。本当の原因はお酒が欲しいのではなく、空腹や疲れを癒やしたいだけかもしれません。原因を特定できれば、お酒以外の解決策が見つかります。

編集部

特に理由がないのに飲みたくなることもあるのでしょうか?

佐藤先生

それは「条件反射」による欲求の可能性があります(※6)。「帰宅してソファに座る」「お風呂上がり」「テレビの音」など、特定の行動や環境とお酒がセットになって脳に記憶されている状態です。「パブロフの犬」のように、条件が揃うと自動的に脳が飲酒モードに切り替わってしまいます。この場合は、帰宅直後の行動パターンを変えたり、座る場所を変えたりして、脳の条件反射を崩す工夫が有効です。

配信元: Medical DOC

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