お酒を飲みたくなったときに今すぐできる対処法と予防策
編集部
今夜、どうしても飲みたくなったときの即効性ある対処法を教えてください。
佐藤先生
強炭酸水を飲むことや、一時的に気を逸らす行動がおすすめです。飲酒欲求のピークは、長くても15分から30分程度と言われています(※7)。この時間をやり過ごすために、喉への刺激が強い炭酸水を飲んで脳を騙してみてください。レモンを搾るとより効果的です。また、「飲みたい」と感じたらすぐに歯を磨く、入浴する、散歩に出るなど、物理的に行動を変えることで脳のスイッチを切り替えることもおすすめです。
編集部
お酒を減らすために、普段からできることはありますか?
佐藤先生
ノンアルコール飲料の活用や、記録をつけることが効果的です(※8)。最近のノンアルコール飲料は非常に品質が高く、十分に満足感を得られるものが増えています。「あえて飲まない」という選択を楽しむつもりで、お気に入りの一本を探してみてください。また、カレンダーに飲んだ日と飲まなかった日を記録するだけでも、客観的に自分の習慣を把握でき、自然と酒量をコントロールしやすくなります。これを「レコーディング」と呼び、行動変容の第一歩となります。
編集部
自分ひとりでコントロールできない場合はどうすればよいですか?
佐藤先生
生活に支障が出るほど欲求が強い場合は、専門機関への相談を検討してみてください。「やめたいのにやめられない」のは、意志の問題ではなく治療が必要な状態かもしれません(※9)。現在は、完全に断酒するだけでなく、お酒の量を減らす「減酒外来」という選択肢もあります。一人で抱え込まず、心療内科や精神科、または地域の保健所などに相談することが解決への近道です。早めの対処が、将来の健康を守ることにつながります。
編集部まとめ
自分の「飲みたくなるパターン」を理解しようお酒が急に飲みたくなる背景には、脳の報酬系やストレス、そして空腹や疲労といった身体的なサインが隠れています。重要なのは、その衝動を「意志の弱さ」のせいにせず、冷静に原因を分析することです。「HALTの法則」で自分の状態をチェックし、炭酸水や食事で脳を満足させる工夫を取り入れてみてください。まずは今日、飲みたくなった瞬間に「今、自分はお腹が空いているだけではないか?」と問いかけることから始めてみてください。
参考文献
※1:Volkow ND, Fowler JS, Wang GJ, Baler R, Telang F. Imaging dopamine's role in drug abuse and addiction. Neuropharmacology. 2009;56 Suppl 1(Suppl 1):3-8. doi:10.1016/j.neuropharm.2008.05.022
※2:Koob GF. Dynamics of neuronal circuits in addiction: reward, antireward, and emotional memory. Pharmacopsychiatry. 2009;42 Suppl 1(Suppl 1):S32-S41. doi:10.1055/s-0029-1216356
※3:Volkow ND, Wang GJ, Maynard L, et al. Effects of alcohol detoxification on dopamine D2 receptors in alcoholics: a preliminary study. Psychiatry Res. 2002;116(3):163-172. doi:10.1016/s0925-4927(02)00087-2
※4:Gailliot MT, Baumeister RF. The physiology of willpower: linking blood glucose to self-control. Pers Soc Psychol Rev. 2007;11(4):303-327. doi:10.1177/1088868307303030
※5:Gorski, Terence T. Passages through recovery: An action plan for preventing relapse. Simon and Schuster, 2009.
※6:Witkiewitz K, Bowen S, Douglas H, Hsu SH. Mindfulness-based relapse prevention for substance craving. Addict Behav. 2013;38(2):1563-1571. doi:10.1016/j.addbeh.2012.04.001
※7:Drummond DC. Theories of drug craving, ancient and modern. Addiction. 2001;96(1):33-46. doi:10.1046/j.1360-0443.2001.961333.x
※8:Enhancing Motivation for Change in Substance Use Disorder Treatment: Updated 2019 [Internet]. Rockville (MD): Substance Abuse and Mental Health Services Administration (US); 2019. (Treatment Improvement Protocol (TIP) Series, No. 35.) Chapter 3—Motivational Interviewing as a Counseling Style.
※9:厚生労働省「新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインに基づくアルコール依存症の診断・治療の手引き」(2018年)

