推し活で作った500万円の借金を隠し、大企業勤めのエリートと婚約した女性。 結婚後に起こり得る“法的トラブル”とは

推し活で作った500万円の借金を隠し、大企業勤めのエリートと婚約した女性。 結婚後に起こり得る“法的トラブル”とは

弁護士の金岡さんに聞いた!借金を隠して罪に問われる?

借金があることを言わずに結婚したら罪に問われる!?
借金があることを言わずに結婚したら罪に問われる!? / (C)ゆりゆアラサー女子漫画


借金を秘密にしたまま結婚することで、罪に問われることはあるのでしょうか?また、借金が発覚した場合、離婚や婚約破棄の原因になり得るのかも気になります。

今回は、コミックエッセイを読んで気になった疑問について、弁護士法人プロテクトスタンスの弁護士である金岡紗矢香さんにお話を伺いました。

金岡さんは、浮気や不倫、離婚といった男女トラブルに加え、借金問題や相続手続きなどにも精通しています。2児の母でもある金岡さん。多くの女性からの幅広い相談に応じ、日々活躍されています。

果たして、あみさんのように、借金を秘密にしたまま結婚することには、法律上の問題はあるのでしょうか?

──借金があることを婚約者に話さないまま結婚しようと考えているあみさん。借金を相手に隠して結婚した場合、法律的に問題になるのでしょうか?

金岡さん:
結婚前に作った借金を隠したまま夫婦となったからといって、必ずしも「違法」となるわけではありません。
法律上、結婚は「お互いの合意」によって成立するものですが、婚約者に借金の有無など経済状況をすべて明かす法的義務まではないためです。

ただし、「借金はない」と嘘をつくなど、婚約者を騙して結婚に至ったようなケースでは、民法上の「詐欺」に該当する可能性があります。
このような場合、騙されて結婚した人は、家庭裁判所に婚姻の取り消しを請求できるのです(民法第747条1項)。
たとえば、交際中に相手から聞かれなかったので借金の存在を黙っていたのみならず「借金はない」と嘘をついていたとします。その後嘘が発覚した場合「借金があることを知っていれば結婚しなかった」という結婚相手からの主張により、婚姻が取り消される可能性があるでしょう。

結婚生活はお互いの信頼関係が基盤です。結婚前に作った借金を隠す行為が必ずしも法律的な問題に直結するわけではありません。
しかし、発覚すれば結婚相手は「裏切られた」と感じ、夫婦関係を悪化させる原因となり得ます。借り入れの理由や金額によっては理解を得られる可能性もあるので、早い段階で正直に打ち明け誠実に話し合うことで、トラブル回避につながるでしょう。

結婚後に発覚した借金は離婚理由になり得る?
結婚後に発覚した借金は離婚理由になり得る? / (C)ゆりゆアラサー女子漫画


──結婚後はそう簡単に離婚できないだろうと踏んでいるあみさん。結婚後に判明した配偶者の「隠し借金」は、離婚理由になりますか?

金岡さん:
まず、配偶者との話し合いにより離婚する場合は、どのような理由であっても成立します。また、もし離婚を求められてこれを拒否した場合「法定離婚事由」に該当する事情があれば、裁判で離婚が認められます。法定離婚事由は法律で定められており、その一つが「婚姻を継続し難い重大な事由」です(民法第770条1項)。

借金は必ずしも法定離婚事由に該当するわけではありません。
しかし、借金の原因や隠していた経緯などによっては、裁判所が「重大な事由」に該当すると判断する可能性もあるでしょう。
たとえば、ギャンブルや浪費癖が原因で借金を重ね、生活費にまで影響を及ぼしている場合です。また、家計を偽って借金を隠していたようなケースも該当します。
こうした行為が単なる金銭問題ではなく、夫婦の信頼関係を崩壊させ、結婚生活を続けることを困難にする事情として扱われれば、離婚の請求を拒否しても、裁判で認められる可能性があります。

一方、借り入れの理由が生活費の補てんや家族の事情などであり、誠実に説明して返済の見通しが立っているような場合は、法定離婚事由に該当するとは限りません。
「隠し借金」がいかに悪質で、夫婦の信頼をどれほど損なったかという点が最も重要な判断基準となります。

結婚前に借金がバレたら婚約破棄される!?
結婚前に借金がバレたら婚約破棄される!? / (C)ゆりゆアラサー女子漫画


──あみさんは、借金発覚を理由に婚約破棄されるのを恐れていました。借金が理由で婚約破棄をすることは可能なのでしょうか?

婚約は、単なる「将来的に結婚する」という口約束ではなく、法的に一定の拘束力を持っています。
もし、正当な理由なく、一方的に婚約破棄された場合、慰謝料の請求が認められる場合もあります。
もっとも、借金があるという事実は、必ずしも婚約破棄の正当な理由に該当するとは限りません。
ただし、借金を意図的に隠していた場合や、借り入れの金額、原因によっては、信頼関係を根本から損ねる行為として、婚約破棄の正当な理由と認められる可能性があります。

たとえば、浪費癖を原因とする多額の借金を隠していたようなケースでは、婚約破棄の正当な理由に該当すると考えられるでしょう。
逆に、借金が少額であったり、事情を説明していれば理解を得られる事由であったりといったケースでは、借金が婚約破棄の正当な理由にはならないと扱われるかもしれません。

つまり、借金が婚約破棄の正当な理由になるかは、金額や原因、借金を隠していたか、信頼関係がどれくらい損なわれたかなど、さまざまな事情が判断基準になります。法的な専門知識がなければ正しい判断が難しい場合もあるので、迷ったときは弁護士などの専門家へ早めに相談してみることをおすすめします。

借金問題は信頼関係をいかに損なったかがカギ!

借金を隠して結婚することで、何か罪に問われることが必ずしもあるわけではありません。
一方で、嘘をついて相手を騙していた場合には「詐欺罪」に問われるおそれがあります。
また、悪質な「隠し借金」が原因で相手との信頼関係を損なった場合には、離婚や婚約破棄の理由になり得ます。結婚前後のトラブルを避けるためには、やはり相手に対して誠実に振る舞うことが重要です。



【金岡紗矢香さんプロフィール】
金岡 紗矢香(かなおか さやか)/弁護士法人プロテクトスタンス
弁護士・行政書士。国内大手飲料メーカーの勤務を経て、弁護士資格を取得。浮気・不倫といった男女トラブルや離婚問題、借金問題、セクハラ・パワハラなどの労働トラブル、相続手続きなど、さまざまな分野に精通し、女性からの法律相談に幅広く応じている。現在、2児の母親として子育てにも奮闘中(第一東京弁護士会所属)。

文=さわ子
わが道を行く兄と天真爛漫な妹の2人きょうだいを育てるママライター。丁寧な暮らしに憧れを抱きつつも、現実では「少しでも家事をラクに!」と模索する日々を送っています。家事・育児・仕事に奮闘する一人のママとして「わかる!」「こんなのが知りたかった!」と思ってもらえるライフハックを発信中です。

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