寿命は? 壊れたら? ノンクラスプデンチャーの維持管理
編集部
ノンクラスプデンチャーの一般的な寿命の目安を教えてください。
長田先生
寿命については使い方やお手入れの仕方によって大きく変わるため一概には言えませんが、基本的に3年以上はお使いいただけると思います。大切に使っている人のなかには、10年、20年と長く愛用している人もいます。表面に傷や変色が目立ってきたり、バネの部分が開いたりしたら交換のタイミングと考えてもらうとよいでしょう。
編集部
毎日のお手入れはどのような点に気をつけるとよいでしょうか?
長田先生
注意してもらいたいのは、ノンクラスプデンチャーは柔らかい素材でできているという点です。ご自身が普段使っている歯ブラシや、毛の硬い入れ歯用ブラシで磨くと、表面に細かい傷がついてしまうおそれがあります。そのため、お手入れの際は、柔らかい入れ歯専用ブラシで優しく磨くようにしてください。歯磨き剤も研磨剤が含まれるので使用せず、水だけで洗うのが基本です。そのうえで、市販の入れ歯洗浄剤で定期的に消毒すると、清潔に保てます。くわえて、熱に弱い素材なので、熱湯で洗ったり、煮沸消毒をしたりするのは避けてください。
編集部
もし使用中に壊れたり、緩くなったりした場合に、修理や調整は可能でしょうか?
長田先生
先にも触れましたが、保険の部分入れ歯と比べると修理や調整が難しいケースが多いです。ただ、ノンクラスプデンチャーと一口にいっても使用される素材は様々で、割れにくい素材や割れやすい素材、修理できるものとできないものと、それぞれに特性が異なります。そのため、一概に「修理ができない」とは言えず、使われている素材によって対応が変わります。治療を受ける際は事前にどんな素材を使うのか、修理ができるのか・できないのかなどをしっかり確認しておくことが大切です。
編集部
歯科医院で定期的なメンテナンスは必要でしょうか? その場合、推奨される頻度も教えてください。
長田先生
ノンクラスプデンチャーは歯ぐきを広く覆う構造になっているため、保険の部分入れ歯に比べると残っている歯が歯周病になるリスクが高まります。そのため、入れ歯だけでなく、ご自身の歯のメンテナンスも同時におこなうことが大切です。歯科医院では超音波洗浄機で入れ歯の細かな汚れを除去するとともに、バネがかかっている歯を中心に歯周病のチェックとクリーニングをおこないます。このような専門的なケアを、2~3カ月に1回のペースで受けてもらうことを推奨しています。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
長田先生
ノンクラスプデンチャーは、入れ歯でも自然な見た目を重視される人に非常によい選択肢です。一方で、仕上がりや耐久性に関しては、どの素材を選び、どのような設計にするかという歯科医の判断に大きく左右されます。治療を検討する際は、ノンクラスプデンチャーの知識や経験の豊富な歯科医に相談し、納得したうえで治療を進めていきましょう。
編集部まとめ
金属のバネが見えることに抵抗を感じる人にとって、ノンクラスプデンチャーは入れ歯と気づかれない自然な見た目が最大の利点であることがわかりました。一方で、保険適用外であること、材質的に傷や変色が起こりやすいこと、破損した場合に修理が難しいことなど、知っておくべき注意点もいくつかあります。こうしたメリット・デメリットを正しく理解したうえで、信頼できる歯科医に相談し、自分に合った入れ歯を選択していきましょう。

