甲状腺がんの原因
甲状腺がんの原因は明らかにされていません。危険因子としては、遺伝による発生が考えられます。髄様がんの場合、約1/3が遺伝性(家族性)であることがわかっているのです。この遺伝子は親から子どもへ50%の確率で遺伝します。髄様がんはがんを引き起こす遺伝子(RET遺伝子)の点突然変異があることが判明しているため、遺伝子診断が可能です。家族に肺がんや甲状腺がんの既往がある方は注意が必要になります。
気になる方は医療機関への検診や相談に行くことも検討しましょう。大人の方でも危険因子はあり、特に19歳以下の大量放射線被曝は明らかな危険因子となっています。
甲状腺がんの治療方法
甲状腺がんの治療法は大きく3つに分けられます。診断されたがんの分類によって治療法が異なるため、それぞれの治療の利点や注意点を知っておくことが大切です。
手術
手術は甲状腺摘出術に加え、頸部リンパ節郭清を行うことがほとんどです。甲状腺全摘術は再発の予防が期待されます。髄様がんの遺伝性でない場合は甲状腺片葉切除術といった、がんのある片側のみ摘出します。利点として、一部でも甲状腺が残っていることで術後にホルモン剤の内服をする必要がないからです。しかし、小さながんが残る場合や再発のリスクがあります。
全症例ではありませんが、なぜ甲状腺の摘出だけではないのかというと、リンパ節の転移が疑われるからです。また、明らかな転移がなかった場合でも予防的に行うことができます。
放射線治療
放射線療法には放射線を身体の中から照射する内照射(放射性ヨウ素内用療法)、身体の外から照射する外照射があります。内照射とは、I-131と呼ばれる放射性ヨウ素のカプセルを内服し、残存甲状腺組織や転移巣の破壊・除去(アブレーション)を目的とした治療です。肺転移では寛解、骨転移では予後改善が期待できます。食事や医薬品、周囲への被爆対策など厳密なスケジュール管理が必要です。
外照射は体外から放射線を照射してがん細胞を焼くという治療法で、手術のみでは治療できない局所再発や遠隔転移に対して行う治療法です。骨転移による痛みの症状緩和目的でも使用されます。
薬物療法
薬物療法には3つに分類されており、以下に示します。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)抑制療法:TSHは甲状腺を刺激し、ホルモンの分泌を促進します。甲状腺がんの術後は身体が甲状腺ホルモンの不足を補おうとしてTSHをたくさん分泌しようとするのが特徴です。しかし、すでに転移がある場合はTHSの分泌を抑制するために甲状腺ホルモン薬を内服することがあります。
分子標的薬:今までの抗がん剤はがん細胞だけでなく正常な細胞にも攻撃してしまう作用がありました。しかし、がんの増殖や転移の過程で必要になる分子だけを攻撃するように開発されたのが分子標的薬です。手術や放射線療法では対応できない甲状腺がんに対して投与されます。
化学療法:分化がんに対しては用いられていませんが、未分化がんの術後補助療法として用いられることが多いです。

