介護における水分補給の注意点

介護で水分補給を行う際に気を付けるべきポイントはありますか?
介護で水分補給を行う際は、安全性と飲みやすさを重視した配慮が欠かせません。以下のポイントを意識するとよいでしょう。① 姿勢に注意する
水分を摂るときは、顎を軽く引いた前傾姿勢が基本です。のけぞった姿勢で飲むと、誤って気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎や窒息の原因になります。寝たきりの方には、ベッドの背もたれを上げて身体を起こし、飲み込みやすい角度を保ちましょう。
② 飲み物の種類と温度を工夫する
水や麦茶などカフェインを含まない飲み物が望ましいです。カフェインには利尿作用があるため、体内の水分が失われやすくなります。また、冷たすぎる飲み物は胃腸を刺激するので、常温や白湯などにしましょう。
③ 嚥下機能に合わせる
飲み込みにくい場合は、トロミをつけたりゼリー状にしたりするなど、形状を工夫して安全に摂取できるようにしましょう。嚥下(えんげ)障害がある場合の水分補給方法については、後項で詳しく解説します。
④ こまめな補給と環境づくり
喉が渇く前に少量ずつ複数回にわけて水分をとるのが理想です。楽しい雰囲気づくりや好きな飲み物を用意することで、自然に水分摂取を促すことができます。
水以外の飲み物でも水分補給になりますか?
高齢の方や要介護の方の中には、水やお茶が飲みにくい、味気なく感じることで摂取量が減ってしまうことがあります。その場合は、味や温度を少し変えるだけでも飲みやすくなることがあります。例えば、麦茶に少量のはちみつを加える、常温や温かい飲み物にするなどの工夫が有効とされています。熱中症が気になる季節には、水分とミネラルを同時に補給できる経口補水液やスポーツドリンクもおすすめです。一方で、オレンジジュースや野菜ジュース、牛乳、ヨーグルトドリンク、甘酒などは水分を含むものの、糖分やカリウムが多い場合があります。腎臓や心臓の病気がある方、糖尿病のある方では量の調整が必要となるため飲み過ぎには注意しましょう。
さらに、ゼリーやプリン、果物(スイカやみかんなど)、味噌汁などにも多くの水分が含まれています。大切なのは”何を飲むか”よりも”どれだけ水分を摂れているか”です。体調や嗜好に合わせて、無理なく続けられる方法を見つけることがポイントです。
嚥下(えんげ)障害がある場合の水分補給方法を教えてください
嚥下(えんげ)障害がある場合の水分補給は、安全に飲み込める工夫と誤嚥を防ぐ姿勢が重要です。先に述べたように、水分が気管に流れ込まないように、姿勢は顎を軽く引いた前傾姿勢が基本です。寝たきりの方には、ベッドの背を起こして飲み込みやすい角度を保ちましょう。
次に、水分の形態にも配慮が必要です。さらさらした水やお茶はむせやすいため、とろみをつける、ゼリー状にするなど、飲み込みやすい粘度に調整します。とろみをつけすぎると逆に飲みにくくなるため、少量から試して本人と相談しながら濃度を見つけることが大切です。
また、焦らせずに少量ずつゆっくりと介助することもポイントです。ティースプーン1杯程度を目安に、お口に含んだら飲み込みを確認しながら次の一口を与えます。誤嚥を防ぐためには、表情や喉の動きを観察し、無理のないペースで行いましょう。
編集部まとめ

ここまで介護における水分補給の重要性についてお伝えしてきました。介護における水分補給の重要性の要点をまとめると以下のとおりです。
水分摂取量が不足すると、体温調節がうまくいかず、脱水症や熱中症を引き起こすリスクが高まり、脳梗塞や心筋梗塞などの危険性も増加する
高齢の方が1日に必要とする水分量は、1〜1.5リットル程度(コップ約7杯分)が目安
介護で水分補給を行う際は、安全性と飲みやすさを重視した配慮が必要
水分補給は、命を守る基本的なケアのひとつです。日々の介護の中で、必要な水分量とタイミングを意識することで、体調不良や重大な疾患の予防につながります。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
高齢者の脱水症予防のケアに関する文献的考察|Japan Science and Technology Agency(JST)

