●国に直接訴えた子どもたち、そして大津いじめ事件へ
2000年代に入ると、子ども自身が国に直接うったえる事例も現れた。
2006年、文部科学大臣宛に「いじめを受けており、状況が変わらなければ学校で自殺する」と記した匿名の手紙が届き、伊吹文明文科相(当時)が全国に呼びかけをおこなった。
ネット社会の負の側面が強く可視化されたのが、2011年に発覚し、2013年に大きく報じられた滋賀県大津市のいじめ自殺事件だ。「自殺の練習」をさせられたことでも話題になっていた。
この事件では、デマが拡散され、無関係の人物が加害者として晒され、職場への抗議電話が殺到した。著名人が加害少年の母親だとしてブログにあげた女性の顔写真が人違いだったこともあった。教育長への襲撃事件まで起きた。
ネットの暴走が、別の被害者を生み出す危険性が露見した事件でもあった。
●法律はできたが…いじめ防対法の限界
この事件を教訓に成立したのが、現在の「いじめ防止対策推進法」だ。
いじめ防対法は、いじめを広く定義し、早期発見・早期対応を制度化した点で意義がある。いじめの定義は以下の通りだ。
「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」
しかし、今となっては現状に合わない部分も目立つ。ただ、議員立法であるため、改正には政治の意思が不可欠だ。2018年には改正案が現実味を帯びたものの、現場の反対を理由に提出に至らなかった。

