●特定の国籍によって「出禁」は人権侵害になる可能性
──店側は「中国人とトラブルになることが多い」という理由で、中国人を出入り禁止にすると投稿しました。ただ、その後の動画では「現時点で中国人の方を出入り禁止にしているわけではない」「法律の問題などもあるのでこれから検討していく」と説明しています。仮に、特定の国籍を理由に入店を一律に拒否した場合、どのような法的問題が生じ得るのでしょうか。
先ほどの裁判例を踏まえると、特定の国籍を理由とする一律の入店拒否に、合理性が認められるか、社会的に許容されるかが判断基準になります。
公衆浴場のような公共性の高い施設と異なり、通常の飲食店ではより店主の意向がより尊重されます。しかし、安易に特定の国籍の入店を一律に拒否することは差別にあたり、合理性を欠くと評価されやすいです。
「中国人とトラブルになることが多い」という点についても、実際に国籍をどこまで正確に把握できているのか、他の外国人や日本人とのトラブルと比べどの程度多いのか、一律拒否以外の代替手段はないのか、といった点を慎重に検討する必要があります。
そうした検討を欠いたまま、特定の国籍のみを理由に排除すれば、人格権侵害として不法行為が成立する可能性があります。
【取材協力弁護士】
金田 万作(かなだ・まんさく)弁護士
第二東京弁護士会消費者問題対策委員会(電子情報部会・金融部会)に所属。投資被害やクレジット・リース関連など複数の消費者問題に関する弁護団・研究会に参加。ベネッセの情報漏えい事件では自ら原告となり訴訟提起するとともに弁護団も結成し集団訴訟を行った。
事務所名:笠井・金田法律事務所
事務所URL:http://kasai-law.com

