●持ち去った人が「わざと」ではない可能性もあるのに注意
誤配達された人が、そのことをわかっていて持ち去ったのであれば、犯罪が成立します。
宅配ボックスの具体的な管理状況などにより議論は分かれると思いますが、窃盗罪(刑法235条、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)か、占有離脱物横領罪(刑法254条、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料)にあたりそうです。
しかし、誤配達された人が、誤配達であることを認識していなかった可能性もあります。
たとえば、誤配達された際、その宅配ボックスに「本当にその家庭に配達された荷物」と、「誤配達された荷物」が混ざって入っているような状況も考えられます。
このような場合、配達された物を本当に自分のところに配達されたと思い込んで開封し、そのまま使ってしまったのであれば、「わざと」ではない、法的には犯罪の「故意」がないといえるため、犯罪は成立しません。
もちろん、誤配達された荷物の宛先をよく見れば、送り先が自分の住所でないことはわかるはずなのですが、それは「うっかり」、法的には「過失」であり、故意はないことになります。
故意がない場合、過失犯処罰規定がなければ犯罪とはなりません(刑法38条1項)。
●弁償などはしてもらえるのか
通販サイトでの売買では、受け取りが実際に可能な状態にするところまでが通販サイト(売主)の責任です。 誤配送の場合は、買主が受け取れる状態になっていませんから、通販サイトに「商品を送って下さい」ということはできます(追完義務といいます)。
他方で、荷物を持ち去った人が特定できるのであれば、その人に対して荷物を返せということもできます。
荷物を持ち去った人から荷物を返してもらった場合には、通販サイトに対して同じ商品をさらに送れということはできませんが、このような手間をかけることで生じた損害を賠償してもらうことは可能です。

