生まれたときから父方の祖父母と同居していた私。家族のにぎやかな日常の中で、幼いころは祖母のやさしさに包まれて過ごしていました。しかし、小学6年生のときに祖母が急逝したことを境に、家の空気は大きく変わっていきました。そこで初めて、介護の難しさと家族それぞれの思いを強く意識するようになったのです。
祖母の急逝後、家の中に生まれた変化
祖母が亡くなった後、家族は祖父・父母・私ときょうだいの6人になりました。祖父はもともと頑固で気難しい性格で、家族の輪に入ることが少なく、いつも怒っているような雰囲気を漂わせていました。それでも、唯一の孫娘だった私にはやさしく、お小遣いをくれることも多く、どこか心を許してくれているように感じていました。
やがて祖父の足取りが不安定になり、転倒やトイレの失敗が増えるようになりました。当時、介護施設でパートをしていた母が自然と介護を担うかたちになりましたが、嫁と舅(しゅうと)という関係もあって、祖父は母の介助を受け入れられない場面が多くありました。
母と祖父の気持ちの行き違いが重なり、家の中では怒鳴り合いが起きる日が続きました。
母の苦悩と、祖父の本音に気付いた瞬間
父は仕事が忙しく、私たちきょうだいが手伝おうとしても、母は「部活でけがでもしたら大変だから」と首を振り、結局ひとりで介護を続けていました。
私は、日に日に笑顔が減り、時にはこっそり涙を流す母の姿を見て、「介護とは、なぜここまで人を追いつめてしまうのだろう」と感じていました。
一方で、祖父が私に向けてくれるやさしさは変わらず、そばで過ごすうちに、「祖父もまた、嫁に手を借りることへの抵抗や、年齢を重ねた自分への悔しさを抱えているのではないか」と感じるようになりました。
誰かを頼ることは、祖父にとって大きな葛藤だったのかもしれません。

