インフルエンザにかかると、高い発熱や全身のだるさに加えて、喉の強い痛みを感じる方が少なくありません。喉の痛みは食事や会話をつらくし、日常生活に大きな負担を与えますが、その仕組みや風邪との違いがわかりにくいと感じる方もいるでしょう。インフルエンザによる症状の多くは、ウイルスが喉や鼻に感染することで生じる局所の炎症や、身体の免疫反応によって引き起こされます。また、喉の痛みがあるときにどのように対処すればよいのか、市販薬の選び方や受診の目安に迷う場面もあります。
この記事では、インフルエンザによる喉の痛みの原因や日常生活での対処法、受診を考えるタイミングを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科
インフルエンザで喉が痛くなる原因

インフルエンザで喉が痛くなる理由を教えてください
インフルエンザで喉が痛くなる主な理由は、ウイルスが喉や鼻の粘膜に感染し、その部位で局所の炎症が起こるためです。インフルエンザウイルスが上気道に侵入すると、感染した粘膜の周囲で免疫細胞が反応し、ブラジキニンやプロスタグランジン、サイトカインといった炎症に関わる物質が放出されます。これらの物質は、喉の粘膜にある痛みを感じる神経を刺激し、ヒリヒリする痛みや飲み込む際の不快感を引き起こします。
喉の痛みだけでインフルエンザと判断できますか?
喉の痛みだけでインフルエンザと判断することはできません。喉の痛みは、風邪や咽頭炎、扁桃炎などでもみられる症状です。インフルエンザは、喉の痛みに加えて、急な発熱、寒気、全身のだるさ、関節や筋肉の痛みなどが同時に現れることが多い点が特徴です。インフルエンザの流行期であったり、症状の始まりが急で短時間のうちに全身症状が強くなったりする場合は、インフルエンザを考える手がかりになります。
風邪と違って喉の痛みが強くなりやすいというのは本当ですか?
インフルエンザは、免疫反応が一気に高まるため、喉の炎症も強く出やすい傾向があります。風邪は喉の違和感が中心となることが多い一方、インフルエンザは発熱と同時に喉の痛みが目立つ方もいます。ただし、すべての方で強い喉の痛みが出るわけではなく、症状の現れ方には個人差があります。喉の痛みの強さだけで区別するのではなく、全身の状態や経過を含めて判断することが大切です。
インフルエンザで喉が痛いときにできる対処法

喉の痛みを和らげるために自宅でできることはありますか?
インフルエンザで喉が痛むときは、喉の粘膜への刺激を減らすようにしましょう。まず、無理に声を出さず、会話は必要な範囲にとどめてください。発声を控えることで、炎症が広がりにくくなります。外出時や就寝時にはマスクを着用し、喉の乾燥を防ぐことも有効です。うがいは、喉についた分泌物や刺激物を洗い流す助けになり、違和感の軽減につながります。強くうがいをする必要はなく、やさしく行うことがポイントです。
水分や加湿は効果がありますか?
水分補給と室内の加湿は、喉の痛みを和らげるうえで重要です。発熱があると、汗や呼吸によって身体の水分が失われやすく、喉の粘膜も乾きやすくなります。水や白湯など刺激の少ない飲み物を、少量ずつこまめにとるよう心がけてください。加湿器を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして、空気の乾燥を抑えることも役立ちます。適度な湿度が保たれることで、喉のヒリヒリ感や咳の出やすさが和らぎます。
市販薬はインフルエンザの喉の痛みに使えますか?
市販薬を使用する場合は、含まれている成分を確認することが大切です。喉の炎症による痛みには、トラネキサム酸を含む薬が使われることがあります。また、発熱や喉の痛みを和らげる目的で、アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬が選ばれます。一方で、アスピリンやメフェナム酸を含む薬は、インフルエンザが疑われる場面、特に小児はインフルエンザ脳症との関連が指摘されているため、使用を控えることがすすめられています。総合感冒薬には複数の成分が含まれることがあるため、判断に迷う場合は薬剤師へ相談してください。
参照:『インフルエンザ脳症はどうしたら予防できますか?』(日本小児神経学会)
インフルエンザで喉が痛いときの食事のポイントを教えてください
喉が痛むときは、飲み込みやすく刺激の少ない食事を選ぶことが大切です。おかゆやうどん、スープ類など、やわらかく温度が穏やかな食品は喉への負担を減らします。香辛料の強い料理や熱すぎる食事は、喉の粘膜を刺激しやすいため控えてください。食欲が落ちている場合でも、少量ずつ摂取し、水分と栄養を補うことが回復を支えます。

