絶縁から半年。義両親の支えもあり、茜と蓮は穏やかな日々を取り戻す。母との関係は「非表示」にし、適切な距離を保つことで自分たちの家族を信じる強さを得ることに。
実の親だからと言って全て許す必要はない
母からの連絡を絶ってから、半年が過ぎました。
最初は、スマホが鳴るたびに体が強張りました。実家の父からも「母さんが怒り狂っているから、一度謝りに来い」と連絡がありましたが、達郎が間に入って「今の茜には安静が必要ですから」と断ってくれました。
驚いたのは、義両親の反応でした。 事情をすべて話した時、義母はこう言ってくれたのです。
「茜さん、親子だからって、すべてを許さなきゃいけないわけじゃないの。あなたは、あなたの家族を作っていけばいいの。私たちは、いつでもあなたの味方だから」
その言葉通り、義両親は頻繁に蓮に会いに来てくれましたが、決して実家のことを無理に聞き出したり、仲直りを促したりはしませんでした。ただただ、私たち親子を温かく見守ってくれました。
以前の母はもういない
蓮はすくすくと育ち、最近では離乳食を美味しそうに食べ、私を見ては天使のような笑顔を振りまいてくれます。実家にいたころの、常に張り詰めたような泣き声はもうありません。この子の笑顔を守れた。その事実だけで、私の選択は間違っていなかったのだと確信できました。
ある日、整理整頓をしていたら、昔、母と一緒に撮った写真が出てきました。 そこには、満面の笑みで私を抱きしめる母が写っていました。
「あのころの愛は本物だった」
それは否定しません。でも、人は変わります。環境や、年齢や、心の中に抱えた何かによって。今の母が私を攻撃するのは、私のせいではなく、母自身の心の問題なのです。
「茜、何見てるの?」
仕事から帰った達郎が、背後から覗き込みました。
「ううん、何でもない。……ねえ、達郎くん。私、いつかお母さんと笑って話せる日が来るのかな」
「……どうだろうね。わからないけど、茜には僕がいて、蓮がいて、父さんや母さんもいる。君は一人じゃないよ」
達郎の言葉に、私は深く頷きました。 母との関係を完全に断ち切ったわけではありませんただ、「物理的にも精神的にも距離を置く」という、最も現実的で、最も勇気のいる解決を選んだだけです。
いつか、母が自分の中の毒に気づき、心から穏やかになれる日が来れば、その時はまた考えればいい。でも、今はその時ではありません。

