「食事をするときはとにかく楽しむ」 リストランテ アクアパッツァ オーナーシェフ・日髙良実さんが考える食事の重要性

「食事をするときはとにかく楽しむ」 リストランテ アクアパッツァ オーナーシェフ・日髙良実さんが考える食事の重要性

3年間のイタリア修業で知った「アクアパッツァ」

28歳のとき、日髙さんはイタリアに修業に向かう。3年間で14軒ものレストランを渡り歩いたという。

「最初は花田さんの紹介で、フィレンツェの『エノテカ・ピンキオーリ』という当時二ツ星のお店に行きました。ミシュランの星付きレストランで修業して日本に帰ってくると箔が付くような時代だったんです。次は、ミラノの三ツ星のお店『グアルティエロ・マルケージ』に行きました」

ただ、その2軒で働いたときに、「彼らはフランスを向いている」と日髙さんは違和感を覚えた。

「『この料理を学ぶのならフランスに行ったほうがいいんじゃないか』と迷いが生じました。そこで、ピンキオーリさんとマルケージさんに『私は日本人です。どんな料理を学んで帰ったらいいですか?』と聞いたら、『イタリアの田舎に行け』と2人に同じことを言われたんです」

そして、マルケージさんから『ダル・ペスカトーレ』というお店のオーナーであるアントニオさんとナディアさんを紹介してもった。これは日髙さんのイタリア修業においてとてもラッキーなことで、今でも彼らとの付き合いは続いているそう。

「彼らは日本人である私が料理を学びに来ているということをわかってくれていて、『いろんなところを紹介してあげるよ』って、ガイドブックを見ながら電話をしてくれたんです。『うちにブラボーな日本人がいる。給料は払わなくていいから、寝る場所と賄いをつけてしばらく預かってくれないか』って。スケジュールから何から、すべてアントニオさんが決めてくれたんです」

アントニオさんのおかげで、北イタリアのレストランを5軒ほど見せてもらうことができたが、回ってみると出している料理も言葉もまったく違っていたという。

「まず北イタリアにはスパゲッティは置いていない。みんな食べません。手打ち麺やお米、ショートパスタとかです。あと、オリーブオイルではなく、バターとか動物性脂肪なんです。結構重いんですけど、寒いところなんで気候風土に合っているんです」

そんなときに、「南イタリアにアクアパッツァという料理がある」ということを日髙さんは知った。

「アクアパッツァとは“アホな水”という意味です。どんな料理かなと思って食べに行って、そこで働かせてくれとお願いしたのが、南に目を向けるきっかけでした」

北と南もまったく違っていて、日髙さんが思い描いていたイタリアが南にはあった。

「南のほうが、イタリアに来たという感じがしました。フランス料理と違ったものを求めてイタリアに行ったわけですからね。「こういう料理はいいな」というのを南で感じましたね」

イタリア修業で得た「人と人との出会い」の大切さ

帰国後、日髙さんは「リストランテ山崎」というお店で働き始める。新しいイタリア料理を作るお店で、初代のシェフが辞めるため、2代目を探しにオーナーがイタリアに来ていた際に出会ったという。

「『興味があったら遊びに来なさい』と言われ、ちょうど日本に帰ったタイミングだったため、『リストランテ山崎』に行ったんです。そうしたら、シェフがそろそろ辞めるということで、『あとやる?』と言われ、仕事を引き受けました。31歳の頃でしたね」

イタリア修業で得た一番大きなものは、「人と人との出会い」だと振り返る。

「イタリア人は人間関係をすごく大切にしている。家族を愛していて、家には家族の写真があって、食べるときはみんなが集まってきて食べるんです。当時の日本はテレビを見ながら食べることが多かったので、すごくカルチャーショックでした。彼らは生きること、人を愛すること、歌うこと、食べることを大切にする。人生をすごく大切にするということを実感しました」

「食事をするときはとにかく楽しむ」という考えから、日髙さんは楽しい雰囲気を作ることを店づくりに取り入れている。

「個室で商談をしたり、女性を口説いたりするのももちろんレストランの場としていいですが、うちは開放的でみんなが楽しんでいる雰囲気です。最近はYouTubeを見て、若い人たちが入籍した日に来てくださることがすごく多い。入籍して1年目、2年目、3年目とか、それぞれの誕生日に来てくださっている方もいます。あちこちで拍手をしているので、『ここは年中クリスマスみたいなお店ですね』と言われることもあります」

自然光が注ぐ明るい店内「リストランテ アクアパッツア」

「家族の健康のために、おいしいものや元気になるものを食べてほしい」という思いは、イタリアの家庭料理にも日本の家庭料理にも共通していると日髙さんは考える。

「根底としてそんなに違わないです。素材や文化が違うので、お味噌汁の代わりにミネストローネがあったり、パスタがあったりという感じです。あと、海に囲まれていて四季があるという共通点もあります。だから、季節によって使う食材が違うところも似ていますね」

(TEXT:山田周平)

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【ゲスト】

第57回・第58回(12月19日・26日配信) 日髙良実さん

「リストランテ アクアパッツァ」オーナーシェフ。1957年 兵庫県神戸生まれ。1986年イタリアに渡る。ミシュラン名店で働き、トップシェフの薫陶を受けた後、イタリア郷土の味を研鑽すべく北から南まで14軒で修行。帰国後、1990年『ACQUAPAZZA』オープン、料理長に就任。魚介や野菜など日本の素材を活かしたイタリア料理を提唱。2020年のコロナ禍にYouTube『日髙良実のACQUAPAZZAチャンネル』をスタート(チャンネル登録者は18.4万人/2025年12月現在)。おうちイタリアンの伝道師として、TVなど各メディアで活躍。2022年 厚生労働省認可「現代の名工」に選出。著書に『アクアパッツァ・日髙良実シェフのごちそうイタリアン』『アクアパッツァ流 イタリアンを極める 日髙シェフのおいしい理由』『教えて日髙シェフ!最強イタリアンの教科書』ほか多数。

YouTube:日髙良実のACQUAPAZZAチャンネル
HP:リストランテ アクアパッツァ
Facebook:リストランテ アクアパッツァ
Instagram:@acquapazza_aoyama

【パーソナリティ】 

クックパッド株式会社 小竹 貴子

クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。 趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。

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