お正月は伝統芸能を楽しもう!新春の能・狂言や歌舞伎の演目をご紹介

Tokyo National Museum Honkan, Public domain, via Wikimedia Commons.

お正月の伝統芸能には、天下泰平や五穀豊穣といった深い祈りも込められています。また、初心者の方でも、その華やかな雰囲気だけで十分に楽しめる魅力が詰まっています。

本記事ではお正月をより豊かに過ごすために、能楽や歌舞伎、人形浄瑠璃・文楽などの、新春ならではの代表的な演目や見どころを解説します。

お正月の能・狂言

能樂圖繪 後編 上(国立国会図書館デジタルコレクション)月岡耕漁, Public domain, via Wikimedia Commons.

能や狂言の世界において、お正月は一年の中でも神聖で重要な時期です。多くの能楽堂では新春公演が行われ、神社では「奉納」として舞が披露されることも珍しくありません。

代表的な演目には『翁』があり、その後半部分である『三番叟』も有名です。ほかに『高砂』もおめでたい演目として上演機会が多く、干支にちなんだ能を披露するなどの工夫も見られます。

翁(おきな)

式三番面「白式尉」東京国立博物館蔵, Public domain, via Wikimedia Commons.

新春公演でよく演じられるのが『翁』です。物語性のない特殊な曲で、五穀豊穣や天下泰平を祈る純粋な儀式として扱われます。

主役である翁が用いる面は「白式尉(白色尉)」といい、翁面とも呼ばれるものです。この演目でしか使われないもので、柔和な老人の笑みを浮かべています。

三番叟(さんばそう)

『翁』の後半部分を担うのが『三番叟』です。こちらは能役者ではなく狂言役者(狂言方)が担当し、足拍子を力強く踏む、躍動感あふれる舞が特徴です。

三番叟では、全体が黒く塗られた「黒式尉(黒色尉)」の面を用います。白式尉と似ていて同じ構造ですが、名前通り面全体が黒く塗られています。

三番叟はそのおめでたさから、歌舞伎や人形浄瑠璃・文楽でも『寿式三番叟』『二人三番叟』などさまざまなバリエーションで取り入れられています。また、糸で操られる人形のような動きを見せる『操り三番叟』は、サポート役である後見との息の合った動きが見どころの華やかな演目です。

お正月の歌舞伎

歌舞伎界にとって正月公演は初春興行と呼ばれ、劇場全体がお祝いムードに包まれます。

全国各地の主要劇場で一斉に幕が開き、格式高く豪華な歌舞伎座の『壽 初春大歌舞伎』、上方ならではの華やかさのある大阪松竹座の『壽 初春歌舞伎特別公演』、若手俳優たちのエネルギッシュな舞台である浅草公会堂の『新春浅草歌舞伎』などが魅力です。

Yoshiiku- Kabuki Actors Greeting the Lunar New Year 1863, Public domain, via Wikimedia Commons.

お正月だけの特別な楽しみとして、ロビーに飾られた鏡餅や正月飾り、彩り豊かなお弁当や御膳などがあり、初春の歌舞伎鑑賞の醍醐味となっています。また、俳優が客席に向かって新年の挨拶をする「お年玉挨拶」も行われます。

正月の芝居とその演目は「初春狂言」といい、「初芝居」「春芝居」「春狂言」とも呼ばれます。

The actors, the Soga brothers, in a confrontation under cherry blossoms, Public domain, via Wikimedia Commons.

江戸歌舞伎では、初春興行で曽我兄弟の仇討ちを題材とした作品である「曽我物(そがもの)」を上演するのが吉例として定着し、「曽我狂言」と呼ばれました。対して上方の京都・大阪では、豪華な遊女を指す「傾城(けいせい)」を主題とする作品がお正月の定番とされました。現在の興行では特に決まりはなく、歌舞伎十八番やおめでたい舞踊、重厚な時代物や世話物など、古典の名作が中心となる傾向にあります。

配信元: イロハニアート

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