ベジファーストはもう古い? 「HbA1c」を下げる“食べる順番”と運動法

ベジファーストはもう古い? 「HbA1c」を下げる“食べる順番”と運動法

HbA1cを下げる効果的な運動方法

運動は食事療法と並んで、HbA1c改善の柱となる治療法の一つです。筋肉が糖を取り込む能力を高め、インスリンの効きを良くすることで、血糖コントロールが改善される可能性があります。糖尿病にかぎらず、認知症やがんの予防にも運動療法は非常に重要であり、高齢になっても心肺機能を高めるトレーニングは怪我にきをつけながら無理のない範囲で実施するとよいでしょう。

有酸素運動の効果と実践方法

有酸素運動は酸素を使って糖や脂肪をエネルギーに変える運動で、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などが代表的です。これらの運動は血糖値を下げる効果があり、運動後しばらくの間、血糖値の低下が持続するとされています。できれば週150分以上、毎日30分ほど行えるといいでしょう。ただし、調査ではこの目標を達成できている人は世界的にも少ないことが分かっています。まずは週30分だけでもやらないよりは効果が出るという研究もあるので、日常的に無理のない運動から習慣付けることが非常に重要です。

なかでもウォーキングは始めやすく、特別な道具も必要ありません。歩く速度は軽く息が弾み、会話できる程度のペースが目安です。階段を使う、通勤で一駅歩くなど、日常の中で活動量を増やす工夫も効果的です。また、日本で開発された日本式ウォーキングも有効です。息がきれるくらいの早歩きを3分、ゆっくり歩き3分を交互に繰り返す方法で、ご高齢の方でも無理なく続けられる方法として世界的に人気になっています。
水泳や水中ウォーキングは関節への負担が少なく、体重のある方や関節痛がある方にも適しています。運動を始める際は急に強度を上げず、軽めの運動から慣らしていくことが大切です。運動を始める前後には準備運動と整理運動を行いましょう。また、天候に左右されず続けるには、室内での運動も役立ちます。踏み台昇降やエアロビクス、オンラインのフィットネスプログラムなどが活用できます。さらに日本で開発されたHIIT(高強度間欠的トレーニング)も世界的に評価が高い方法です。20秒のきつめの筋肉トレーニング、10秒の休憩を交互に4分間繰り返し、1分休む5分を1セット、これを4セット反復する方法で、医学的にも高い有効性が証明されています。

レジスタンス運動と筋力維持

レジスタンス運動は、筋肉に負荷をかけて筋力を高める運動で、ダンベルやチューブを使った筋力トレーニング、スクワット、腕立て伏せなどが含まれます。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、安静時にも糖を消費しやすい身体になります。また、筋肉自体が糖を取り込む能力が高まるため、インスリン抵抗性の改善につながる可能性があります。

週に2〜3回、主要な筋肉群(脚、腰、胸、背中、腕)を鍛える運動を行うことが推奨されます。自宅で行う場合は、自重トレーニングから始めるといいでしょう。スクワットは大きな筋肉である太ももやお尻の筋肉を鍛えられ、効率的に代謝を高められます。これも上記のHIITという方法で行うとさらに効率的なトレーニング効果が期待できます。

腕立て伏せが難しい場合は、壁や机に手をついて行う方法もあります。負荷は、10〜15回繰り返せる程度が適切で、無理なく続けられる範囲で行います。高齢の方や体力に自信のない方は、理学療法士や運動指導士の指導を受けることで、適切かつ効果的に運動を行えます。

有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。例えば、週に3日は有酸素運動、2日はレジスタンス運動を行うなど、バランスよく取り入れましょう。

運動療法を継続に続けるための注意点

運動はHbA1c改善に有効ですが、誤った方法や過度な運動は逆効果やケガの原因となります。運動を継続し、効果を引き出すための注意点を説明します。

低血糖への対策

糖尿病治療薬を使用している場合、運動によって血糖値が下がり過ぎる低血糖のリスクがあります。特にインスリンやSU薬(スルホニル尿素薬)などの血糖降下薬を使っている方は注意が必要です。運動前に血糖値を測定し、70mg/dL未満であれば軽い糖質を摂ってから始めましょう。
運動中や運動後に冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、脱力感などが現れたら低血糖の可能性があります。このような症状を感じた場合はすぐに運動を中止し、ブドウ糖や糖分を含む飲料を摂取しましょう。運動時には糖分を必ず携帯し、いつでも補給できるようにしておくことが大切です。

運動のタイミングも重要で、食後1〜2時間は血糖値が比較的高いため、この時間帯に運動すると安全かつ効果的です。空腹時や就寝前の運動は低血糖になりやすいので避けましょう。薬の種類や量に応じて適切な運動量や時間帯は異なるため、主治医に相談しながら調整することが必要です。また、血糖自己測定器で運動前後の血糖値を記録すると、自分の身体の反応が把握しやすくなります。運動を始めたばかりの時期や、薬の変更時には特に注意して変動を観察しましょう。

合併症がある場合の運動制限

糖尿病の合併症がある場合は、運動の種類や強度に注意が必要です。糖尿病性網膜症が進行している方では、激しい運動や強い負荷が眼底出血のリスクを高める可能性があるため、軽めの運動にとどめることが重要です。腎症がある場合も、過度な運動は腎機能を悪化させることがあるため、医師の指導のもとで適切な強度を設定しましょう。
神経障害のある方は足の感覚が鈍く、傷に気づきにくいため、運動前後の足の確認と靴選びが欠かせません。心臓や血管に病気がある場合は、運動負荷試験で安全な運動強度を把握してから開始することが推奨されます。整形外科的な問題がある方も、関節や筋肉に負担の少ない運動を選ぶ必要があります。運動を始める前には必ず主治医に相談し、無理をせず、自分の身体の変化に注意しながら継続できる運動習慣を築くことが、長期的な健康維持につながります。

配信元: Medical DOC

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